気づかない君が悪い (ページ17)

今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:43,847 hit

✩ ページ17

lk*side

本当に言葉のまんまだった。

泣かせるつもりで言ったんじゃなくて、
自分も心配でつい、相変わらずなAさんに強く言ってしまった。

PT帰りに人通りが少ない道を選んだから良かったものの、
あの場に居合わせれなかったと思うと押しの弱いAさんは言いくるめられそうだったから。

多分安心したのもあって泣いてるのもあるのだろうけど、
普段から小さい彼女がより小さく見えて、

抱きしめてしまった。

『強く言ってすみません。でも、あんたが心配だから、何かあって欲しくないから…』

「……ごめん。リノ…ありがと。」

一瞬驚いたようだったけど、俺の背中に腕をまわして小さな手が服を掴んだのが分かる。

こんな状況で、彼女に対して明らかに心音が早まる。

好きな相手を抱きしめて、腕を回されて冷静に入れるほど余裕はない。

彼女にとって、今縋れるのは自分しか居ないだけなんだろうけど。それでよかった。

少し落ち着いたAさんの頭をなでて、
出来ればこの時間が少しでも長くあればいいと欲張りたくなる。

ただ、そんな期待もすぐ打ち消されてしまう。

『あ、雨……』

「ほんとだ……あ、荷物！」

急な雨に見舞われてしまったおかけで、
自然とAさんがは離れてしまう。

ただ、ポツポツとふるだけだったらそこまで気にしなかったものの、結構な勢いで降り始めてきてしまった。

「家近いから寄っていって！タオルと傘貸すから！」

『え？あ……うん。』

この人、簡単に言うけどいまさっきの流れで本当に警戒心が無さすぎる。

俺だからならいいけど、多分そこまで気にしてないし、優しさのつもりなんだろうけど。

油断なんかして欲しくないんだけどな。