油断しないで ページ15
ダンプラの撮影も終わり、
メンバーそれぞれほかのスケジュールに向かう。
メイク・スタイリスト勢は明日以降の準備をして、
スケジュールに向かうメンバーに付き添う人もいればそのまま解散の人もいる。
今日はたまたま後者だったからジウを誘って飲みにでも行こうかと画策するものの、
ジウ「ごめん!彼氏と久々にゆっくりしたいから!」
『……ぐっ…… 』
彼女はちゃんと幸せな恋愛をしているから断られてしまう。
そりゃ急に早上がりになれば会いに行くよな……
切ない気持ちを押し殺しながら、
久々に思いっきり買い物でもしてストレス発散だと意気込んだ。
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両腕いっぱいに買い物して帰路につこうと歩いているけど、
いつの間にかすっかり夜が深けてしまった。
大通りの人混みに巻き込まれたくなくて、
裏道みたいな人通りの少ない道を歩きながら街頭が少ない空を見上げる。
都会の端くれだからそんなに星も見えず、
無性に切なくなる。
彼氏と別れたばかりで人恋しくなってるのもあるし、
ヤケのように買い物をして、1人の帰り道ほど寂しいものは無い。
そんな誰もいないと思っていた道に、ヤンチャそうな2人組が前からやってくるのが見えた。
ただすれ違うだけだと思って目も合わせずいたつもりだったのだけれど…
「オネーサン、こんな夜道にあぶなくない?」
『え、……あ、大丈夫です。』
急に話しかけられたことにも驚いたのもあるけど、
もう1人は私の肩に腕をまわしてきて距離を詰めてくるのにもっと驚く。
「夜道危ないし、俺たちとご飯でもどう?」
『ほんと大丈夫なので!急いでるし……』
「荷物も重そうだし、家近いなら送っていくよ?」
あぁ、今日はツイていない日かもしれない。
あいにく両手は買い込んだ服やら化粧品やらで塞がっている。全力疾走するにも囲まれてしまってる状態で2人とも簡単に引き下がってはくれない。
こういう場合に上手く切り抜ける逞しさが欲しい。
悲しくなってくるのと疲れも相まって視界がぼやけて来る。
『もう、ほんと疲れてるから……』
「なら尚更送ってくよ!ね?」
埒が明かない会話を続けていた時、
不意に私の服を勢いよく後ろに引っ張られる。
『うわっ……え?』
?「荷物持つから、一気に走るよ。」
2人組とはまた別の、
聞き馴染みのある声で囁かれる。
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作者名:mrn710 | 作成日時:2023年6月1日 23時