10人目柱の鬼殺隊観察日記 (ページ4)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:1,792 hit

第3話怒りページ4

･

義勇side

鬼になった妹を…
己が食われそうになっていたにも関わらず
妹だけは違う！殺さないでくれ！と叫ぶ少年。
俺が殺させない？人間に戻してみせる？
前にもそう言って殺されたやつを見たことがある。
でも結局…

『あの子から嘘の魂は見えてない。本当にそう思ってる。義勇…どうする？』

隣でそう聞いてくるAはなにやら楽しそうだ。
こいつに何を期待している？何を感じている？
俺たちはただ鬼を切るだけだ。
それが俺たちのやるべきことなのだから。

炭「どうか…お願いします…妹を殺さないでください。お願いします。」

そう言いながら涙を流し土下座をする少年。

義「くっ…。」

『あっ…。』

義「摂政与奪の権を他人に握らせるな！」

炭「っ！」

義「惨めったらしくうずくまるのはやめろ！そんなことが通用するならお前の家族は殺されていない！奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が妹を治す？敵を見つける？笑止千万！」

『怒った。』

義「弱者にはなんの権利も選択肢もない！ことごとく力で強者にねじ伏せられるのみ！妹を治す方法は鬼なら知っているかもしれない…だか！鬼どもがお前の意思や願いを尊重してくれると思うなよ！当然俺もお前を尊重しない！それが現実だ！」

『…あぁ懐かしい。』

義「なぜさっきお前は妹に覆いかぶさった？あんなことで守ったつもりか！なぜ斧を振らなかった？なぜ俺に背中を見せた？そのしくじりで妹を取られている！お前ごと妹を串刺しにしてもよかったんだぞ！」

『人間さん…泣かないで。絶望しないで。君の気持ちは私たちよくわかるから。つらいよね？叫びだしたいよね？私たちがあと半日早く来ていたら…でもね時は戻せないんだよ。だから…怒って。私たちに怒りを向けて。』

気づいたら俺は大声をあげていた。
いつぶりだろうか…こんな感情をだしたのは。
Aが懐かしいと言うほど俺は感情をだしてはいなかった。
Aの言う通りだ。怒れ。
許せないという強く単純な怒りは手足を動かすための揺るぎない原動力になる。脆弱な覚悟では妹を守ることも、治すことも家族の敵を打つことも出来ない。
そして俺は鬼の肩へと刀を振り下ろす。

･