Story 4 ページ5
授業の間の10分休みも国見くんから連絡が来る
気づいたら、バレー部の話じゃなくなってたけど
今話しているのは、好きな食べ物のこと
国見くんは塩キャラメルが好きらしい
それ、食べ物というかお菓子じゃないかな…
英及川は?何が好きなの?
私…何が好きなんだろ…
好きなものも嫌いなものも思いつかない
A強いて言うなら、チョコ?
送ってから気がつく
これ私も食べ物というかお菓子じゃん！
でも、なんでずっと「及川」呼びなんだろ
兄さんとゴッチャになりそう、っていうかなってる
私としては、Aって呼んでもらった方が…
まあいきなり異性に名前呼びはキモイか
私も国見くんのこと、苗字呼びだし
人のこと言えなかった
そして、放課後
今日もバレー部の部活はあるらしいけど
まだ無理して来なくて良いと言われた
マネお願いされたの、今日だったもんね！
でも…ちょっとだけ…
ちょっとだけ見に行っても良いかな…
体育館に入ると、
ギャラリーが女子で溢れかえっていた
前から兄さんのせいで混んでるのは知ってたけど
何とか小さい体を使って、隙間に入れた
流石にこれは狭すぎる…
なんでこんなに混んでるんだよ…
及「じゃあ練習始めるよ〜」
兄さんの声で部員がコートに入る
サーブ練習、レシーブ練習、スパイク練習…
あれ…兄さんと一くん…
私が知らない間にすごく上手くなってる
前は周りなんて見てなかったのに…
私がバレーを嫌いになっても…
2人はずっと努力をし続けてたんだ…
自分の未熟さが耐えられなくなって
私は体育館のギャラリーから逃げ出した
教室まで荷物を取りに行く足が重くて
真っ直ぐの廊下が長くて
時間だけがどんどん進んでいっている気がして
及「あれ？A？」
兄さんに声をかけられて、焦っていた心が一旦落ち着く
及「さっきギャラリーから見てたでしょ」
『…兄さん、ちゃんと周り見るようになったんだ』
及「まあね〜☆マネージャーなりたくなっちゃった？」
マネージャー…
国見くんと約束したからやらないといけないけど…
でも今は自分からやりたいと思っている
バレーが嫌いなのは、怖いから
自分が繋いだボールを誰も拾ってくれなくて
コートに這いつくばりながら、敗北を知るのが怖い
『バレーは嫌い…でもマネージャー、やりたい、かも』
そろそろ私も、前向かないと…
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作者名：梨羽 | 作成日時：2024年1月9日 19時
