アイツがバレーを嫌う理由。 (ページ2)

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Story 1 ページ2

入学してから3ヶ月

兄さんのことは隠しているし、
クラスメイトとも少し距離を置いているから…
今の所は大丈夫…

来週からは夏休みだから
しばらくは学校に行かなくて済む

『じゃあ行ってきます』

すでに父さんも母さんも兄さんも家を出ているから
返事が返って来たことはないんだけどね

部活動は特にやってないけど、
学校にはクラスで1番に着いていたい

誰もいない教室で少し仮眠を取るのが好き
たまに部活動の朝練を眺めたり、
クラスの植物に水をあげたりして…

遅刻ギリギリで来る友達を叱りながら、
今日の授業のこととかペットの話とかを話したりする

授業は軽く受け流す
指名されたら、返事できるくらいには耳を傾ける

だいたいの授業は先生が勝手に話を進めていくだけだし
個人的には聞かなくても良いかなって…
こんなこと言ったら、怒られる気がするけど

授業が終わったら、すぐに帰る
部活観察は朝にやるから、もう興味ないし

学校で1番最初に帰ってる自信ある

これが私の日常
これが私のルーティンだから

でも今日は少し違った

『ただいま』

誰もいないはずの家に帰ると
「おかえり」と笑顔を向ける兄さんと一くんがいた

及「いつもこんなに早いの？」
岩「悪い、勝手に家入って」
『…兄さんと一くん、部活ないの…？』

質問を質問で返して悪いとは思うけど
でも普段なら部活で帰ってくるのは夜のはずなのに

岩「今日は体育館が点検で使えなくなったからな」
『そう、なんだ』

これ以上ここにいると、気まずいから
早く自分の部屋に逃げ込もうとしたんだけど…
やっぱり兄さんからは逃げられなくて

及「なんでバレーやめたの？」

それ、聞いてくるよね〜…
母さんと父さんには話したけど
でも兄さんに話す気はない、絶対に！

『別に…もうバレーやりたくなくなったから』
及「嫌いになったの？」

あぁ…もうバレーなんて…

『大っ嫌いだから！』
岩「A…？」

一くんの心配する声も無視して、部屋に逃げ込んだ