つかの間の邂逅 2 /左慈(リク) ページ31
▫
それから何度か任務を共に遂行することがあった左慈とA。
次第に左慈の中で、当初感じていた苛立ちは消え去っていた。
こう言う言い方は癪だが、共に居て居心地は悪くはない、と思う。多分。
「あ？この国を出る、だと？」
「そ、私にも色々事情があるのよ」
暗殺を終えたある日、晩酌していた二人。そうした中で、唐突にAはその話題を切り出した。
「お前、肆氏様に雇われていたんじゃねえのか」
「一時的にね。私は放浪者みたいなもんだから、一つのところに止まらない主義なの」
持っている杯を手遊びしながら月を眺めるA。今までの左慈なら、別に何も思わなかっただろう。
けれど、この何だろう、この居心地の良さがもう無くなるのかと理解した途端、つまらないと感じた。
「じゃあ、行くわね」
「は？」
飲んでいた酒の手が止まる。その際に反動で僅かに杯から、酒が飛び散った。
「今日もう咸陽出るのよ」
夜の方が行動しやすいからね。
まるで近所に買い物に行く軽さで告げるA。
出会いも唐突なら、別れも唐突で。
左慈は、こんな時何を告げるべきなのかを分からなかった。
ただ、一言。
「野垂れ死ぬんじゃねえぞ」
「はいは〜い、ありがとう」
じゃあね〜と、何とも軽い別れの挨拶。それっきりAは左慈に背を向けたまま、闇夜に消えて行った。
同じ陣営に属していたとはいえ、暗殺をする者同士がこんな馴れ合いは必要なかったのかもしれない。
けれど、その僅かな邂逅が左慈はけして嫌いではなかった。
Aと左慈がこの後二度と会うことはなかったけれど。
そう、共に飲んだ晩酌の時間は、けして左慈は嫌ではなかったのだ。
ーーーーーーーーーーーーー
《作者のひとりごと》
ゆりさん、リクエストありがとうございました！お待たせ致しました！
色々と設定を悩んだ末に同じような暗殺者に…。アニメ見直して必死にキャラを掴もうと努めました(笑)口調が迷子になっててすみません(^-^;
梅雨に入りましたね〜。頑張って乗り切ります！
ではでは！
・
遣らずの雨 1/白麗(リク)→←つかの間の邂逅 1 /左慈(リク)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「キングダム」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵 - この話好きすぎて何回読んでも飽きません いきなりですがリクいいですか？政の妹で信と蒙恬と王賁と貂ちゃんで絡んで欲しいです (2021年11月22日 10時) (
レス) id: 1b00569172 (このIDを非表示/違反報告)
識(プロフ) - なんかもう昌平君の話がもうたまらない！！！いつも読んでは感動しています！ (2021年5月31日 11時) (レス) id: 8de27f30e5 (このIDを非表示/違反報告)
ハミィ - リクエストです！桓騎将軍の話を書いて欲しいです！出来たらお願いします。どの話もとても面白いです！ (2020年9月9日 3時) (レス) id: b2c428b5bb (このIDを非表示/違反報告)
いちご飴 - また慶舎書いてほしいです！激甘で！ (2020年8月11日 11時) (レス) id: fe4f65c6ae (このIDを非表示/違反報告)
midori(プロフ) - るーるるさん» 初めまして！るーるるさん、初コメントありがとうございます！作品を大好きだと言って頂けて、とっても嬉しいです！ リクエストもありがとうございます。輪虎、承りました！素敵なお話をお届けできるよう頑張ります！ (2020年6月17日 13時) (レス) id: 55b1e5ee37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：midori | 作成日時：2020年5月7日 14時
