公女様と李牧2 ページ2
李牧へと向き合ったA公女は賓客に対して王族としての挨拶を述べる。
李牧もまた礼節を持って返す。
A公女は後ろに立つ舜水に一言述べてある物を受け取った。
「ふふ、さて、これはなんでしょう？」
「！」
公女は兜を持って見せる。
「あ、あれは！」
「風篁将軍の兜…！！」
「なぜ？！」
秦国側の半数以上と趙国側が大きくざわついた。
李牧は先程感じた違和感に、その兜によりほぼ確証を得ていた。
彼女は。
「改めて、私のもう一つの名はーーー風篁と申します。これでも一応、将軍の位も持っています」
かの六将級と言われる、そして謎多き将軍・風篁。
まさか、公主と同一人物だとは、さすがの李牧も驚かされる。
戦神と呼ばれた昭王の例があるとはいえ、公女がその身分を隠して戦に出ているなどと、普通は予想しようはずもない。
だが、道理でこの場で堂々としているわけも納得がいく。あの将軍なら、この場の空気に飲まれないはずである。
両国のざわつきを物ともせず、公女は話を続ける。
「一つ欲しい場所がありまして。ーーー」
両者の間に広げられた地図。
ある場所の近くでA公女は止まった。
「そうですわね、韓皋城を」
紡ぎ出された名前に、李牧はヒヤリと汗を流す。
「ははは！さすが公女様ですな。ーーーどうですかな、李牧宰相」
どうですかな、などと尋ねつつそれはもはや確認であり、脅しだ。
李牧は他の城10個で妥協しようとするが、呂不韋は応じない。
A公女は先程と一転して、静観している。
戦場で実は風篁将軍は寡黙将軍とも別名呼ばれている。あまり本人が自ら指示出す場面が少ないのだ。大体が副官の舜水将軍が指示を出している。
だから、圧倒的な武勇を誇りながら、軍略は舜水将軍の策で本人は苦手なのだ、と批判や中傷もあった。
だが、それは嘘だ。
李牧は確信する。
無能な将軍が取引として、韓皋城を引き合いに出すなどできるはずがない。
李牧は呂不韋と交渉を重ねていくが、とうとう韓皋城で手を打つことになった。
ここに、秦趙同盟が成立した。
交渉が終わり、宴の準備のため場が解散となり正殿が人の出入りでガヤガヤとなる中、李牧は玉座から降りて秦王と話しているA公女を見ていた。
あの時、ヒヤリと感じた後、次第に李牧は高揚したのだ。
面白い、と。
ただの美しい公女などではない。
かの風篁将軍と同一人物ということにも十分興味深いが、対面してこそ分かる。
紛れもなく、彼女は人を率いる王族の一員だ。
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葵 - この話好きすぎて何回読んでも飽きません いきなりですがリクいいですか？政の妹で信と蒙恬と王賁と貂ちゃんで絡んで欲しいです (2021年11月22日 10時) (
レス) id: 1b00569172 (このIDを非表示/違反報告)
識(プロフ) - なんかもう昌平君の話がもうたまらない！！！いつも読んでは感動しています！ (2021年5月31日 11時) (レス) id: 8de27f30e5 (このIDを非表示/違反報告)
ハミィ - リクエストです！桓騎将軍の話を書いて欲しいです！出来たらお願いします。どの話もとても面白いです！ (2020年9月9日 3時) (レス) id: b2c428b5bb (このIDを非表示/違反報告)
いちご飴 - また慶舎書いてほしいです！激甘で！ (2020年8月11日 11時) (レス) id: fe4f65c6ae (このIDを非表示/違反報告)
midori(プロフ) - るーるるさん» 初めまして！るーるるさん、初コメントありがとうございます！作品を大好きだと言って頂けて、とっても嬉しいです！ リクエストもありがとうございます。輪虎、承りました！素敵なお話をお届けできるよう頑張ります！ (2020年6月17日 13時) (レス) id: 55b1e5ee37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：midori | 作成日時：2020年5月7日 14時
