近づくほど君は k.y (ページ34)

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夜中に2人で家を出て

もう今では乗り慣れたバイクに乗る

後ろから見る優太くんのこの背中がとても好き

バイクを走らせ到着したのは初めてデートをした海だった

『 A？』

付き合った時のように優太くんが手を差し伸べてくれて月に照らされた海を歩く

『俺ここ好き、Aと2人だけの世界みたいじゃん？』

にしゃっと笑う優太くん

『 …色々あったな』

その言葉と同時に沢山の思い出が蘇る

「ほんとだね」

『一緒に住めなくて、会いたくても会えない時も沢山あったけど…ずっとAは側にいてくれたよな』

隣を見るといつ見ても綺麗な横顔がそこにある

『優しくて、俺の名前を何度も呼んでくれて、料理がうまくて、いつも笑顔で迎えてくれて、笑うと意外と声がでかくて、可愛い』

「最後ちょっと違うけど…急にどうしたの？笑」

『んーなんだろう、知れば知るほどAのこと好きになる。１０年後のAの方がもっと好きな自信しかない』

手を握られて立つように施される

『なあA？』

目の前で跪く優太くん

『俺と結婚してください』

差し出された小さな箱には指輪が入っていて

「へ…？」

手を握り締めたまま立ち上がった優太くんの瞳はゆらゆら揺れていて

『 Aがしてくれたように、俺もAのこと支えるからずっと一緒にいてほしい』

気づけば目の前の優太くんが滲んでしまうほど涙で溢れていた

私はただただ頷くしかできなくて

8年間たった8年かもしれないけど

優太くんへの気持ちが形になると思うと嬉しくて涙が止まらなかった

そんな私を優しく抱きしめてくれるのは優太くんしかいなくて

「お願いします」

彼の腕の中抱きしめる力が強くなる

月に照らされる中

2人の唇が重なる

『愛してる、これからもずっと』

fin.