瑞色涼想い 井上瑞稀&橋本涼

涼想い １３ ページ43

ー｢……本当バカ。
大勢の前であんな事言うなんて。｣


｢ご、ごめん……。｣


机や椅子が並べられた、立ち入り禁止の空き教室。


二人並んで、体育座り


｢でも、その……嬉しかった。｣


あんなに堂々と言うなんてさ


カッコよすぎない？


涼はしょんぼりした顔で


私を見た。


｢あの……ごめん。不安にさせて。
相談、乗ってもらってたんだ。
今日のこととか。
植田さん彼氏いるし、本当違うんだ……。｣


重なる手は


小さく震えていて。




｢俺……Aしか、見てないから。｣



あぁ、涼はこういう男の子だったね。


どんなに告白されたって


バレンタインにチョコを溢れるくらい貰ったって


放課後デートに誘われたって


『俺彼女いるから』、って。


いつだって


私を一番に考えてくれて。


｢わ、たし……涼の全部が、好きだよ。｣


大好き。


嫌いになんか、なれるはずが無かった。


ごめんね。


つまらない意地張って。


｢……ありがとう。｣


涼は安心したように微笑み


そっと唇を重ねた。


久しぶりのキス、は


何だか照れくさくて。


でも落ち着いて。


お互いに、笑い合った。


やっぱり私の隣は


涼じゃなきゃ、ダメなんだ。


｢あの……文化祭、まわらない……？｣


その一言で


ハッと思い出した。


高橋、くん。


｢ごめ……私、行ってくる。｣


空き教室を飛び出して


無我夢中で、階段をかけ上った。

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