瑞色涼想い 井上瑞稀&橋本涼

瑞色 ５ ページ25

しかもその『ホイップメロンパン』って。


1日10個限定の超レア物なんですけど。


｢ぇ、待ってほとんど三年生が勝ち取るって聞いてるんだけど。｣


｢もし買えなかったらお金返してねー！｣


うわー！マジか、マジか……。


学食はたまに利用するけど


一角は戦争状態だよ。


俺はこっそりと親友である羽場ちゃんと教室を抜け出し


早くもメロンパンを求め並んでいる先輩たちの後ろに、そっと付いた。


いやまだ授業中だし。


何してんだよ3年生……。


俺も人のこと言えないけど。


どんだけ人気なワケ。


｢羽場ちゃんごめんね、巻き込んで。｣


｢大丈夫大丈夫。
本当に市川さんのこと好きだよねぇ。｣


｢や！違うし！これは俺が負けたからで……｣


｢あ。ドア開くよ！｣


ふと前を見れば、おばちゃんが何やら鍵を開けている。


さぁ、頑張れ井上瑞稀。


200円をギュッと握りしめ


走る準備をした。


ー｢…………はい、どーぞ。｣


ボロッボロになりながら教室に戻り


お弁当の用意をしていたAの目の前に差し出した、メロンパン。


周りの女子からは、驚きの声。


｢え、え、え。
本当に買えたの……？｣


｢……まぁ。
めっちゃ大変だったんだからね。｣


さて、言葉を濁したには


ぶっちゃけワケがある。

瑞色 ６→←瑞色 ４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す