瑞色涼想い 井上瑞稀&橋本涼

瑞色 ４ ページ24

ー｢終わったー！！｣


チャイムが鳴ると同時、みんなが一斉に騒ぎ出す。


2日に渡るテストが、無事終了。


苗字が『い』の俺たちは


名前順でも席が前後。


｢うへへ。
結果が楽しみダネ井上くん。｣


｢残念だけどまた俺の勝ちで〜す。｣


べーっと舌を出す。


ふん、今回ばかしは負けられない。


でもAも得意気に笑ってるし。


読めないぞ。


結果表が来るのは、確か4日後。


それまでに、お願い決めとかなきゃー……。


ー先生から手渡しで1枚の紙を貰い。


周りがギャーギャー騒ぐ中


椅子ごと隣を向いて。


｢……せーの！｣


2人でひっくり返す、結果表。


順位は


｢よっしゃ！俺の勝ち！｣


｢はー！？
いや待って国語と英語は私の勝ちだよ！？｣


学年順位、クラス順位、共に1位は俺。


一方2位のA。


わずか5点差。


危ない危ない、ほっと一息。


Aは、俺の紙と自分の紙をまじまじと見比べる。


やがて諦めたのか


｢……もー、期末でリベンジしてやる……。｣


と、ブツブツ言いながら


なぜかいきなり、お財布を出し始めた。


後ろからは


｢瑞稀やべー！｣


｢勉強してないって言ってたじゃんか！｣


なんて友達がワチャワチャ言ってくる。




ー｢瑞稀。……一つ目の、お願い。｣



いきなり凛とした声と


不意に重なる手のひら。


ドキッとしたのもつかの間。


｢……ホイップメロンパン、買ってきて♪｣


手渡されたのは


200円。


…………マジですか。


まさかパシリに使われるとは。


少しでもイイ感じの雰囲気が流れたと思った


俺がバカでした。

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