瑞色涼想い 井上瑞稀&橋本涼

瑞色 ３ ページ3

こ、これ気まづすぎ……。


先輩のいる、2年4組の前。


手前を見れば、話しかけやすそうな人を見つけた。


｢ぁ、あの……大島先輩いますか？｣


控えめにドアを開け、意を決して話しかける。


本鈴まで、あと2分。


｢大島〜！呼んでるよ〜｣


先輩は友達と話していて


俺を見るなり、ぱぁっと顔が輝いた(気がした)。


｢珍しいね、どうしたの？｣


ニコニコニコ。


頬が緩みっぱなしで、もはや不審者感がある。


｢ジャージ、貸して欲しくて……。｣


｢忘れたの？
みじゅき可愛い〜。温めてあげたい〜。｣


｢……。｣


完全にスルーしながら、ロッカーから取り出してくれたジャージを受け取る。


フワッと甘い柔軟剤の香りに


なぜか無性に、ドクドクと心臓が速くなった。


｢ふふ、体育頑張ってね♪｣


｢ありがとうございます。｣


再びダッシュで階段をかけ登る。


今気づいたけど


別に先輩じゃなくても良かったんじゃ！


普通に違うクラスの友達でも良かったじゃん！


俺バカすぎる！


息切らせ教室に入った瞬間


本鈴が鳴り、何とかギリギリセーフだった。


ーさてここで問題発生。


｢だりー。1周ズルしてもバレなくね。｣


｢バレたらプラス1周だよ。｣


死にそうな声を出す優斗と、外周を走る走る。


11月の体育は、主に長距離走だ。


……ヤバいんだけど。


良い匂いする。


ちょっと丈足りないけど


先輩に抱きしめられたときの匂いする。

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