相手になれ ページ9
夜、私は彼と共に教室へと入った。
後ろの方で男子たちが摑み合いをしているところに茶々入れるように声を出したのは彼だった。
私は教卓に向かい、真正面から教室を見回した。
柊「楽しそうだね、俺はここで高みの見物をしてればいいのか?」
その言葉に甲斐が立ち上がる。
甲斐「だったらテメェが相手になれ。」
その言葉に私は目を見開いて、無意識のうちに声を出した。
「なんで、気づいているくせに….」
私の呟きに気づく人は誰もおらず、皆甲斐と彼に集中している。
柊「あ?」
甲斐「誰が動画弄ったか知りてぇんだろ?お前が勝ったら洗いざらい吐いてやるよ。ただ俺が勝ったら全員を解放しろ。」
私はその言葉に微かに声を震わせつつも感づかれないように、口を開いた。
「…これまでの戦歴を見れば、甲斐が勝つ見込みは無さそうだけどね。」
甲斐「…調子悪いんだろ?」
―ほら、やっぱり気づいている、彼の体調の悪さに。
甲斐「さっきから脂汗かいてるぞ。今のお前なら猿でも勝てる。」
柊「…いいだろう。」
そう言って彼は教卓にいる私にPC、ジャケット、眼鏡を渡した。
「無理は、しないでね。」
彼にだけ聞こえるようにそう伝えれば彼はこちらを見て優しい笑みを向けてくれる。
彼の無事をただただ祈ることしかできない私はある意味無力でしかない。
でも、今私にできるのは、見守ることだけなんだ。
机でリングを作れば、2人はその中で対峙した。
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作者名:優しい歌 | 作成日時:2019年4月5日 17時