恐怖 ページ30
Side H.I.
彼女が共犯で助かったとこの時ばかりは思う。
彼女は賢い、きっと足止めもやってのけるだろう。
…体が持てば、の話だから俺は授業をすることに専念しようか。
「…なら、ここから出たい者。」
そう言って見渡せば、瀬尾、兵頭、浅見、辻本、光永、秋庭あたりが手を挙げる。
これも全て彼女も俺も想定していた。
「そうか…わかった。じゃあ話し合いをする前に、諏訪が何の情報を持っているのかそれを確かめてからに…。」
諏訪「だから知らないって言ってるでしょ！」
そう叫びながら諏訪は鞄を机に叩きつけた。
「…そんなに喜志が怖いか？」
諏訪は何かに怯えている。其れを敢えて強く見せることで、隠している。
「それとも、喜志のおかげで手に入れた名声を失うのが怖いか？」
諏訪の目は泳いでいた。当たっているとするなら、後者か。
諏訪「…そうだよ。喜志を裏切って今の地位を失いたくない。それの何が悪いの？」
水越「唯月…。」
諏訪「彼奴といれば何でも手に入る。お金にも困らないし、コネでメジャーな事務所にも入れる。ライバルだって何も言わなくても蹴落としてくれるし、おかげで雑誌の表紙まで飾れた！…こんな美味しい立場、手放すわけないでしょ？」
甲斐「ベルムズがどういう連中かわかってんのかよ？」
諏訪「関係ないし！実際私はフェイク動画のことなんて知らなかった。私は悪くない。」
そう言い放つ諏訪。きっと彼女が言っていることはまぎれもない本心。
でも常に完璧であり続ける彼女だからこそ、その弱さを見せることを恐れていた。
諏訪「…何その目…笑いたきゃ笑えば？偽りの力にしがみついてみっともないって！…間違ってることぐらい分かってる。でも私はこうやって生きてきたから！こうやって生きるしかなかったから！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優しい歌 | 作成日時：2019年4月5日 17時
