You're my hero.３ (ページ28)

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救われたページ28

Side K.S.

未だ気を失ったままの先生を見守っていると諏訪さんが入ってくる。

諏訪「…1人になれる場所もねぇのかよ。」

そう言って諏訪さんは適当な机に寄りかかる。

諏訪「…ぶっきー、長くないらしいよ。」

　「…え？」

諏訪「病気だって…もうすぐ死ぬみたい。」

　「嘘…。」

驚いて私は先生を見る。体調が悪いとは思っていたけど、まさかそんなに深刻だなんて…。
まさかAはこのことを知っててついてる…？

諏訪「馬鹿だよね、病院でおとなしくしてたらもう少し長生きできたのに。澪奈の死の真相暴くとか言ってるけどやってること犯罪じゃん。その上その犯罪にAまで巻き込んで。犯罪者が偉そうに。」

そうだけど、でも、きっとこうまでしなきゃいけなかった理由がある。
そして尚且つAは自分で、この道を選択していると思う。

　「…私は救われたよ、先生に。澪奈があんなことになって、私は生きた心地がしなくて、ずっと時が止まったままだった。もし先生とAが澪奈のことに触れてくれなかったら、一生引き摺ってたと思う。ずっと澪奈に対して…。」

諏訪「澪奈澪奈澪奈！…何で皆彼奴に拘るの？…私はあの女が嫌いだった。やりたいことにまっすぐで、ブレずに生きてて、目障りだった。」

諏訪さんのその言葉が、なんか、もっと自分を見て欲しいっていうような、心の叫びに聞こえた私は諏訪さんの方へと体を向けた。

　「…諏訪さんもブレてないように見えるけど？世界のファッションショーに出るようなモデルになるって。…ごめん、前に喋ってるの聞こえちゃって。」

諏訪「…わかんない。そもそも本当に叶えたかったのか、もうよくわかんない。…いろんなもの犠牲にして、失って、もう後戻りできなくなって、だから前に進むしかなくて、…なんであんたにこんな話…。」

驚いた。まっすぐにモデルへの道を突き進む諏訪さんにも、こんな大きな壁が立ちはだかっていることに。

　「戻ってもいいんじゃないかな？…無理して進む必要ないと思う。…そうだ！新日の棚橋と柴田の泣ける話があるんだけど、聞く？」

諏訪「…聞かない。」

…やっぱりプロレスの話は通じなかった。