【Ｈ×H】長月のセレナーデ【幻影旅団】 (ページ6)

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第四夜　彼と仲間たちページ6

「…仲間？」
「あぁ、オレたちのな…。君が、Aが来た、と伝えておいた」
　突然名前を呼ばれ、胸が跳ねる。きゅ、と痛むように鳴く心臓。これは…？なんだ、この感覚は。いやそれよりも、仲間を呼んだ？

「あなたの仲間と会え、ということですか？」
「察しがいいな。そういうことだ」
　先程から何故か状況に追いつかない。いや、大前提でこれが夢だとして、自分と彼は初対面なのに。何故さも親しいかのように扱われるのか。
「それと、オレのことはクロロと呼んでくれればいい」
「…はい」
「あと、普通に話せ」
　は、はい、と頷く。

　なんだか、夢にしては不思議な夢である。まるで彼が、始めから自分を知っているかのように。そして、一番不思議なのは、こんなおかしな状況に、自分が全く驚いていないこと。確かに夢だからほいほいとついてきたが、馴れ馴れしく会話をしてくる彼に、これっぽっちの不信感もない。まるで自分を待っていたかのように、彼は傘をさして迎えに来て、当たり前のように、こちらが会ったことも無い仲間なんか呼んで。

　変な夢…。

　なんて思いながら、この表情の読めない彼を見つめる。クロロ…。クロロ、か。どうしてだろう。聞いたことも無いこの名前が、自分にとってとても大切なもののように思えてくるのだ。

　どうして？どうしてこうも、胸が苦しくなるの？

「あ、団長！」
　見知らぬ声に、Aは顔を上げる。
「わー、良かった、今夜も来てくれた」
「相変わらずシケた面してやがるな」
「今日も一体、何話してやがったんだ」
　ぞろぞろと集まってくる彼ら。隣でクロロが、仲間だ、と呟く。なるほど、彼らがか。すると先頭を歩いていた茶髪の青年がこちらに近付く。それよりも、団長とは一体何だろうか。

「こんにち…じゃなかった、こんばんは。初めまして、オレはシャルナーク」
　ぱ、と片手を差し出されAは目を瞬かせる。
「で、これはウヴォーギン」
「コレってなんだ、コレって。つかお前、警戒されてんじゃねーか」
　青年のそばの大きな男が言った。Aは思わず顔をしかめる。何なんだ、この人たちは。揃いも揃って個性的な者ばかりではないか。
「ええ！？それ言うならウヴォーでしょ！オレみたいな好青年、警戒のしようがないし」
「お前はなんかこう……胡散臭いんだよ」
「胡散臭さなら団長の方が群を抜いているよ」
　眼鏡をかけた女の子が語る。