【Ｈ×H】長月のセレナーデ【幻影旅団】 (ページ23)

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第二十一夜　一夜限りのトランプページ23

「誰が縁がないだと！？」
「Aにだって、怯えられちゃってたもんね。女の子って、ウヴォーみたいなのは苦手だと思うよ」
「あれはAがオレのことを覚えていなかったからだ。なんたって、Aはオレのことを一番気に入ってたからなァ」
「…うん。オレはウヴォーを尊敬するよ。色んなイミで」
「どういう意味だよ」

　言い合いになっている二人を余所に、クロロはAに向き直る。
「…それじゃあ、始めるか」
「始める？」
　クロロのその一言にAは聞き返す。
「そういえば、まだ勝敗がついていなかったなァ…」
　ノブナガが、のっそりと歩き出す。
「昨日の続きをすると言ったはずだ」
　クロロは小さく笑う。

「ババ抜き」
　ノブナガは、自分のその着物の裾から、トランプを取り出した。

　12人はぐるりと円になった状態で、それぞれがその手にトランプを持っていた。そしてその中に、ある異端のカードを持つ女が一人…。

　うそでしょ…。どうしてまたこんな……。

　Aは頭を抱えようとして、手を引っ込める。危ない、気付かれるところだった。顔に出さないようにしなくては。Aの揃わぬ数字の手札の中には、一枚のピエロがあった。最初にこれを持っていたのも自分なのに、一体何をどうして、11人の手を渡り一周して戻ってきたのだろうか。

　最悪だ……。負けたら、罰ゲームとかなんとか言ってたっけ…。一体何されるんだろう。

『じゃあ罰ゲームは、朝が来るまで敗者は勝者の奴れいになるってのはどう？』

　言い出しっぺのシャルナークさんが負けちゃえばいいのに。っむ、と顔をしかめてAはシャルナークを睨みつける。
「ねえねえ、なーんか、弱っこい負のオーラを感じるのは気のせい？」
「またAがババ持ってるのか？」
　シャルナークの疑問は、フランクリンの声に被さり消える。
「えっ、な、どうして分かるの？！って別に持っていないけれど……っ」
「自分で持ってますって言ってるようなモンだろそれ」
　ノブナガが一枚、パクノダの手札から引く。
「わたし、上がり」
　ぱ、と両手をひらひらさせるパクノダ。
「ばかおいウソだろお前っ……」
　A以上の手札を握るウヴォーギンが驚く。

「あんたたち、分かり易すぎなのよ。特にA」
「っへ？」
「顔に書いてある」
　パクノダが立ち上がる。
「そ、そんな……」
　ごしごしとAが頬をこする。