第三十九夜 長い電話 ページ41
「Aが消えた?」
フィンクスからの電話に、クロロは危うく携帯電話を落としそうになる。
くそっ……。まさかこのタイミングでっ。
「とりあえず、手分けしてAを探せ。……あぁ、恐らく」
ヒソカが何か絡んでいる、ということは分かっている。まさか奴が彼女を拐ったとでもいうのだろうか。そんな面倒なことを、あのヒソカが?いや、だがしかし有り得る話ではある。そもそもAが無断で旅団の側から離れたことはなかった。クロロの指示を無視したことだってない。
あそこにいろとオレは言ったはずだ。
どんなことがあっても、オレたち以外の人間の前には姿を現すな、と。
___迂闊だった。
フィンクスたちがアジトに到着するのと、シャルナークがあそこを出ていくのに時間差はそんなにない。やはり、あのたった10分程の時間差を狙われた、か。
「恐らく、ヒソカの仕業だろう」
彼女を捕らえて何をするつもりなのか。Aを餌に、自分を誘きだそうとしている様にしか思えない。が、それなら彼女の命が脅かされることはないだろう。
夜明けまであと少し。行くか?行くべきか?
ヒソカの居場所は、もう把握している。そこに自分が向かえばいいだけの話。が、ここでヒソカと会ってしまっては……。Aを使って脅されるかも知れない。
『彼女の命が惜しければ……ボクを団に入れるんだ』
……有り得る!
「団長?聞いてるのか」
「あぁ、聞いている。フィンクス……ヒソカの場所は把握している。お前たちだけで向かってくれ」
「……別に構わないが…団長は、来ねえのか?」
「オレが向かえば、話はややこしくなるかも知れない」
向かうべきか?否か?
「あいつを入団させるとかって話……オレは寧ろ入れちまった方が得策だと思うがな」
突然のフィンクスの言葉に、あれこれ考えていたクロロの思考が停止する。
「しつこくつきまとわれるよりマシだろ。入団させちまえば、一応監視もできるワケだし。Aのことがあって、団長も色々考えてくれてるとは思うが……あんたは、Aのこととなると、冷静な判断が下せなくなるからな。……っと。出過ぎたマネをした。すまん」
長くなった話に、フィンクスは少し焦ったのかそう言った。
「お前の……言う通りだ」
少し、冷静さに欠けているのは事実だ。分かっている。彼女のこととなると、どうも“団長”としての自分を見失ってしまう。
ならば、すべきことはただ一つ。
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作者名:アユミ | 作成日時:2018年11月15日 0時