同じ夢を見ようか。【ｉｆ】２ ページ50
「あぁ、行っちゃた…」
「兄者もね、きっとAと一緒がいいと思うんだ。だから、呼んでもらうの」
オウケンさまはそう言って、くふふと笑う。
「デスハーさまはお二人よりも大きいですし、そんなことはないと思うのですが…」
そんな風に話していれば、足音が聞こえる。ぱたぱたと、小さな足音とほんの少し大きな足音。
「お、おい…」
「兄者連れてきた！」
「あ、兄者っ！」
デスパーさまが、デスハーさまの手を引いて部屋に入ってくる。ぼんやりとした暗闇でお二人の顔はあまり見えない。
「デスハーさま…」
私がそう言うと、罰が悪そうに下を向くデスハーさま。あぁ、きっとデスハーさまのことだから夜中までお勉強をされていたのだろう。可愛いデスパーさまに引っ張られてしまったら、この方は断ることなどできない。
「ボクAの隣っ！」
ぎゅっとオウケンさまが片腕にしがみついてくる。
「ずるいですよオウケン！そこはデスパーの場所です！」
「ボク兄者とAの真ん中がいい」
「真ん中はデスパーの場所です！」
「もう喧嘩しないの！」
言い合いを始めた弟たちに、私もなだめるしか他がない。狭い私のベッドにお子様二人。腕を引っ張られながら身体が左右に揺れる。
「やめろお前たち、どこでもいいだろ」
はぁ、と顔に手をやり半ば呆れ顔のデスハーさま。すみません、私が引き留めなかったばかりに…。
「じゃあ兄者はどこがいい？」
「兄者もAの隣がいいですか？」
弟たちの問いに、「そんなことは…」と言葉を濁すデスハーさま。ぱち、と一瞬目が合うがふいっと逸らされてしまった。ほら、もう一緒に寝るような歳ではないのよ…。
「やっぱりAの隣が良かった」
ようやく寝場所(？)が決まり、4人川の字で狭いベッドに横になる。頬を膨らませるデスパーさまに、「オレじゃ不満か」とデスハーさま。デスハーさまの隣にデスパーさま、オウケンさま、私の順に並んでいる。
「…ううん。兄者も好き」
そう言われたデスハーさまは、「そうか」と一言言って、デスパーさまの頭を優しく撫でた。きっと、暗くて見えないけれど、優しい顔をされているんだろうな。
「ねえ、A、今日ね…」
「もうお話はおしまいですよオウケンさま」
「えーー」
「早く寝ろよお前たち…」
まだ眠くないのか、楽しそうな弟たちになんだか疲れた様子のデスハーさま。すみません、本当に…。でも、その顔はどこか優し気だった。
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作者名：アユミ | 作成日時：2022年5月2日 22時
