花の冠を君に ２ ページ35
ぱさり、と黄色い花で紡いだ王冠をボッジさまの頭に乗せる。
「すげえぞボッジ、お前、花の王様みたいだ！」
カゲくんに褒められて、ふん、と得意げなボッジさま。もちろん、ボッジさまだけじゃないわよ？
「そして王の友、カゲよ！」
「え、何オレ！？」
小さな、花で作った指輪。私は、「手を」とカゲくんに声をかけ、その真っ黒で優しい手に指輪を通した。
「そなたにはこの指輪を授けよう」
「お、オレにも？！」
「…あなたは王の友。王が挫く時も、迷う時も、ずっとおそばに支え続けた、王のかけがえのない存在…。受け取ってくださる？」
「あぁ！ありがとう！ありがとう！すっげー嬉しいよ！」
ボッジとお揃いだな！、と二人ははしゃいでいる。あぁ、喜んでもらえて良かった。すると、カゲくんは指輪のはめた手でつんつん、と私を突く。
「A、なんだかオレ、今、心がいっぱいだ！」
「カゲくん…」
「あったかくて、なんだか、嬉しくてたまらない気持ちだ！」
「それは…良かった」
どうか、そんな気持ちが、この先もこの二人に溢れてくれますように。
「ありがとうなA！」
「はいっ」
じゃあお昼にしないとね、とボッジさまと手を繋ぐ。あったかい陽の匂いがするボッジさまの手は、強さも、優しさも感じる不思議な手。私の手にすっぽりと収まってしまうほど小さいのに。
きっとこの手が、誰かの涙を拭ってくれるのね。
誰かの手を、救ってくれるんだ。
「こら、遅いですよ…。もう何時だと…ってあら、なんです皆して」
家に着くと、花だらけの私たちを見て不思議そうな顔をするデスパーさん。
「…ちょっと、ふふ」
照れ笑いする私たちに、デスパーさんは困ったように笑って言った。
「早く手を洗ってらっしゃい。お花の王様と、お姫様」
「はいっ」
「あうあっ」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「へぇ、Aにあげるのか？」
「あうっ。あーうあっ」
「あぁ、確かに…。この花、Aに似てるな」
「あいっ」
「よし、オレも手伝うよ。アイツきっと喜ぶぜ、ボッジ！」
「あう！」
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作者名：アユミ | 作成日時：2022年5月2日 22時
