麗しき、あなたを描く。2 ページ2
もしもそのお顔を、あのデスパー様がご覧になったら。きっと笑いをこらえきれず、お腹を抱えて転げ回るに違いない。それに激怒されるデスハー様も容易に想像がつく。
あぁ、なんと楽しいことか。いつかまた、ご兄弟揃って笑える日が来たらどんなによいだろうか。
デスハー様…。
私も…。我々、騎士団一同とて、同じ思いです。
我々の想いはいつも、どこまでも素直なA殿が代わりに届けてくれる。我々がどれほどまでに、デスハー様を慕っているのか。行動で示しているつもりではあるが、いささかあの方には伝わりにくいようだから。
こんなに国民に慕われようと、自分の銅像だって壊されてしまうような繊細なお方。
だからこそ、一点の嘘もない素直なA殿の言葉が。
想いが。
デスハー様にとって必要なのかも知れない。
我々は闘うことくらいしかできませんが、いつどんな時もあなた様に着いていくことを誓います。
だからどうか、A殿の想いを、素直に受け取って下され。
｢…バカめ｣
そう言って、紙から顔を上げた我が王の顔は。
それはそれは優しい顔をしていたのだ。
ーーーーーーーー
｢で、デスパーさん｣
｢なんですカゲくん｣
｢あ、あそこに飾ってあるあれって…｣
｢騎士が描いた兄者の絵ですよ｣
｢あ、あんな顔してたかァ？｣
｢さあ。…でも、彼女の前では、そういう顔もするのかも知れませんねぇ｣
｢いや誰だよそれ。ってかなんで、デスハーの絵をアンタが持ってるんだ！？｣
｢そりゃ…面白いからに、決まってるじゃないですか｣
｢やっぱ兄弟って似てるな…｣
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作者名：アユミ | 作成日時：2022年5月2日 22時
