久しぶりに、話をしようよ ページ6
酷く眩しい昼下がり。再びクロロと出会ったのは、奇跡と呼ぶべきか。
再会したあなたは、私の知っているあなたよりも少し小さかった。
「…ふうん、未来から来たって?」
「うん」
そばの崩れた石段に二人腰をかける。
私よりも随分とチビなくせに、酷く大人びた顔しちゃって。私のよく知るクロロとよく似ているけれど、どこか違う。それは、見た目とかの話じゃなくて。まだ幼いからか、その瞳にはほんの少しあどけない光が残っていた。それが、なんだか私には嬉しくて、切なかった。
「ね、本当に信じているの?」
「…さぁ。でも、あんたの話、面白そうだから。あと、少し頭が悪そうだから上手くゆすれば何か手に入るかも知れないだろ?未来がどうとかその話が本当かはさておき、その裕福そうな身なりは事実だ。いいとこの女なら、あんたを騙して金目のものが貰えるかなって」
「やっぱりあなたクロロね」
大人のクロロより、生意気さが目立つのが鼻につくわ。
「あんた、未来で、オレのことを知ったの?」
「…ええ、まあ」
「ふうん。で、なんで過去なんかに?」
「私も分からないの。自分の意思で来たわけじゃないもの。そもそも、あなたと出会ったのだって、偶然だったから…」
本当に偶然だった?
まるで、必然とでも言うような。私たちの出会いはそんなだった。
「けど、ある時私はあなたと出会って…それで…」
「それで?」
そ、それで?
あぁ、それで、なんなのだろうか。ただ、一緒にいたんだっけ。どんな時も、特別に何かするでもなく、日常を、皆で一緒に。
「ずっと、一緒にいた」
「…なに、あんたはオレの恋人だったわけ?」
「っぶ」
コイビトォ!?と私は素っ頓狂な声をあげる。対するクロロは不思議そうに、目を瞬かせて、「違うのか」と言った。
「もう、そんなんじゃ…」
「けど、あんたは未来のオレが好きなように見えるけど」
少し悪戯っぽく笑うそれは、やっぱりあのクロロだ。っていうか、この人はよくもまあ恥ずかしげもなく…。ってか、こんな子供に私ったら…!
「ふん!私じゃなくて、あっちが私に惚れてるのっ」
あぁもう何をまたこの口は…!
クロロが私にホの字ですって?寝言も休み休み言いなさいっての私っ。
「へー意外だな。オレは、あんたみたいな子供っぽい女は好みじゃないな。でも、大人になれば女のシュミも変わるもんなのかな」
「そーゆーとこは全然変わってないわよ?」
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作者名:アユミ | 作成日時:2021年8月18日 19時