検索窓
今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:29,866 hit

ページ15


 窓の外は、朝焼けに染まっていた。
 徐々に明るみを増す空。

 清々しい朝だ、と言いたいところだけれど……。

「グーッ……ガーッ……」
「ったく、煩いよー。十座」

 隣で眠る彼の鼻をつまんでやる。
 息苦しそうにもがく彼が可愛らしくて笑ってしまった。

 あまりイジメてはいけないな、と指先を放した時。
 彼は静まった寝息の隙間に、私の名前を呼ぶ。

「……A、さん」

 顔を覗き込んでみるも、十座の瞼は閉じられたままだ。

「寝言、か……」

 あんなにも酷い仕打ちをしたと言うのに。
 彼はまだ、私の腕を掴もうと言うのだろうか。

 彼氏の演技をして抱いてくれ、なんて。
 那智の代わりになってくれ、なんて――


『止めておけ』


 臣からの返事を見たのは、何もかもが終わった後だった。
 押し寄せた罪悪感に、臣の言葉が重くのしかかる。

「ほんと、止めとけば良かった……」

 無垢な寝顔に落ちる涙は、自分のエゴばかりが詰まったけがれた色。

「ゴメンね、十座。ゴメンっ、私……っ」

 きっと、私が泣かずに昨日を過ごす方法なんて……無かったのだ。

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (77 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
70人がお気に入り
設定タグ:A3! , 兵頭十座
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちーずたると(プロフ) - 最後の台詞、テメェらがメテェらになっちゃってます…!折角良い作品なのに。更新お疲れ様でした。 (2018年1月20日 1時) (レス) id: 16ae0bdd23 (このIDを非表示/違反報告)
黒ちん(プロフ) - コメ失礼します!めちゃくちゃドキドキしました!十座大好きなので本当に嬉しかったです!続き楽しみにしてますね! (2018年1月14日 14時) (レス) id: 339ef6e82f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まるち | 作成日時:2018年1月7日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。