夜久さんには可愛い双子の妹がいます【黒尾鉄朗】

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Aside


木兎くんが帰っていって、
残された私達は、ケーキと紅茶を食べている。


お互いのお皿には
モンブランとチーズケーキが少しずつ。


さっきからクロの口数が少なくて、
私は私で木兎くんが居なくなってから急に緊張してきてて、クロとの距離にもドキドキする。


トイレから戻ってから、クロの腕が触れている。
触れるか触れないかの距離だけど、
少しでも動くたびに触れる。

私が思ったよりも近くに座りすぎたせいなんだけど、
座り直すのも変かなと思ってそのまま。


黒「あー美味かった！」

といってフォークを置くクロ。


私は先にケーキを食べ終わっていて、左手をソファに乗せてると左手に何かが乗った。


ちらっと左手に目線を落とすと、クロの手。



お互いに顔を見合わせて、

ごめん

となるけど、クロの手が離れる様子が無くて


どうしようって焦ってると



黒「・・・・嫌なら離すけど」


って言われ、


『嫌じゃない・・・////』


といえば、そのままぎゅっと手を握られた。






そのままどれくらいの時が経ったんだろう。


お互い無言のまま下を向いて手を握られている。


途中店員さんがケーキのお皿を下げにきて、


クロが
「すいません、飲み物おかわりで」

と頼み、私もお願いした。



何となく、空になってしまった飲み物を見てると、帰らなきゃいけないと思ってしまって

もう少しこのまま居たいんだけどなと思ってて・・


だからクロが飲み物のおかわりを頼んだ時、


もしかしてクロももう少し一緒に居たいと思ってくれてるのかなって



自惚れてしまった。




無言の間にも
チラチラと

研磨が・・・
山本が・・・
リエーフが・・・

とみんなの話がたまに出て


私も衛輔が・・・と話したり、



でもたぶんお互いに全然集中できてない。


少し話せばすぐに会話は終わってしまうし
クロとたまに目が合えば
お互いにすぐそらす。




今まで、クロの態度が変わってしまうことは度々あったし、機嫌が悪い時は目を合わせてもらえないこともあったけど、



そんなのとは違う。



クロの本当の気持ちは分からないけど、
でも、きっと、今この時間だけは

きっと私のこと考えてくれてる。





離したくない。この手。





今まで左手の甲の上にクロの手が乗っていたけど、ゆっくりと手の甲下にして、手のひら同士がくっつくようにする。


すると、ピクッとクロの手が動いて、

そして、もっと強く手を握られる感触が伝わってきた。

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