rain.06 ページ6
…なんだ今の。
自分の中のどこかに
何かがストンと落ちた感覚がした。
それが何なのか、どこに落ちたのか
少し理解していて、納得したくなかった。
A「今日から梅雨入りらしいです」
彼から視線を外して、
雨の降っている向こう側に目を向けた。
折り畳み傘をカバンから出す人、
ビニール傘を閉じながら改札へ向かう人、
私たちと同じように走ってくる人
無一郎「そうだったんですね…」
その言葉になんて返事をしようか
なんて考える前に
彼はまた、一言発した。
A「ごめんなさい、車の音で聞こえなくて」
何か発していたのは
チラッと横目で確認できたのだけど
タイミング悪く多くの送迎車に
彼の声がかき消されてしまった。
無一郎「いえ、」
私の言葉を聞いた彼は
体をこちらに向けて
少し困ったような顔で笑った。
無一郎「僕、もうそろそろ電車来るので」
A「あ、はい…じゃあ」
15人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆっくり四つ葉 - 素晴らしい作品をありがとうございます!眼福です! (2020年9月2日 6時) (レス) id: 135b7cf6d1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:微力 | 作成日時:2020年6月15日 15時