思い通りにならない彼女【煉獄杏寿郎】其の弐

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杏寿郎「さて、どこから話してやろうか？
うん？」



部屋へと戻ったAは蛇に睨まれた蛙。



えーっと…
その怖いお顔の理由……でしたっけ……？



『………妻って言ったのは間違えたんです…
そしたらよく分からなくなっちゃってですね………』



杏寿郎「違う。
……それは少々良いとする。

その後だ、問題なのは！！
どういうつもりだ！」





………後ぉ？
っていうか、妻って間違えたのは全然良くないよ。
だって妻よ？
フリとか無理だってば。
辞めたら離縁したと思われちゃうじゃん！

それに嘘でも煉獄さんが旦那様なんて………

意地悪ばっかりするんだ、きっと。
考えただけで恐ろしい……気が滅入る………


はぁ……




で、何だっけ。
あれ…？ 煉獄さんさっきより怖いお顔…………何で？




杏寿郎「何で？ だと…？
全て声に出ている！！」



まさか！と思いAは口を押さえるが手遅れである。



杏寿郎「それより！！
何故他の部屋で過ごそうとするんだ！？

挙げ句、俺に他の女と過ごせだと？！！
頭の中はどうなってるんだ！？
何の為の婚約者だ……！！」





…………そうだ……女の子からのお誘いを断る為…でした。
私は最後まで役立たず………




『……すいません…………本当に…』




杏寿郎「ぐっ………
…も、もう二度とあんな事を言うんじゃない……！！」




『……言わないです……すいません……(婚約者のフリをするのも最後だから大丈夫…)』




杏寿郎「ぬぅ……」




本当ならば婚約者らしく振る舞うように、もっと色々と言いたいが、珍しく素直に謝罪を続けるAに戸惑った杏寿郎は調子が狂う。




『……今日もお役に立てないので…………
もう寝ようと思います…………
じゃあ……、……ん？』




そう言い、Aはトボトボと布団のある部屋へと向かうと、あることに気づいた。





『煉獄さん。
………ここ、布団…一組しか無いですよ………？』

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