思い通りにならない彼女【煉獄杏寿郎】其の弐

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『はぁ〜………
一人って気楽だぁ……
んふふ……これも中々良さそう』




帰り道で書店を見つけたAは、新たな小説を入手する為に立ち寄りペラリペラリと内容を確認し厳選していた。



何冊目かに突入すると急に小説を取り上げられ、頭上からは聞き覚えのある声が聞こえた。





杏寿郎「こうも毎回勝手に居なくなるのはどうしてだ？
うん？」





笑顔の杏寿郎が現れ、またも追いつかれた事に驚くが、その笑顔に何やら恐怖を感じるAは目を逸らし、どうしてだ？と言う杏寿郎の問いに、
“一緒にいる必要がないと思ったからです！”
……なんて事は口が裂けても言ってはならないと悟るが、頭の中では何度もそう繰り返す。




『えーっと…！
ほら、煉獄さんもお疲れでしょうし？
私の用事に付き合わせるのも悪いですし？
……私も一人のが気楽ですし……？

……一緒にいる必要ないかと………
はっ…！！
そうじゃなくて………！！！』




杏寿郎「むぅ…！
疲れてもいないし本来一緒に出掛けたのなら一緒に帰るだろう？！
それなのに………！！

あぁ…！ もう良い！
そっちの本も買って来るから貸せ！！」




『えっ？！ 何で煉獄さんが買うんですか？！！
自分で買うから良いですよ！
取り上げた本も返して下さい！』




杏寿郎「欲しい書物は全て俺が揃える！
そう約束してある！！」





………私の訴えも虚しく煉獄さんは小説を３冊持って…と言うか強引に奪って会計に行ってしまわれた。





煉獄さんって律儀なとこあるよねぇ…。
怒って？るのに約束したからって小説買ってくれるなんて。




それにしても足…早すぎる……
何でいつも先回りされてたり追いつかれるの…？
どの時点で気づいて追いかけてくるの…？！！




こっちはこの温泉旅行で歩き疲れてると言うのに……！
温泉を満喫したけど足の疲れはあるのに……！




ついでにさっき旅館から急いで帰ろうとして鼻緒のとこ擦れちゃったんだから……！
それもこれも煉獄さんが急に呼び捨てになんてするからだ……！！





そうとも知らず、煉獄さんがこっちに戻ってくる。








………何か変な顔してるけど何なのよ…？

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