思い通りにならない彼女【煉獄杏寿郎】其の弐

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……思わず逃げてしまった。
煉獄さん、怒ってないかな……？




よ、呼び捨てで呼ばれるのは無理だよ……！！




だって！
だって呼び捨てで呼ぶのって恋人や夫婦、そして運命のお相手だけなんでしょ…？！！
※違う




だから…
本当は慣れて無いどころじゃ無いんだもん………
呼ばれた事なんて無いもん……！！
何ならお母さんにしか無いもの………！！






なのに偽物の私にそんな難易度の高い事は出来ない……！





はぁ…………。
何で最後の最後でとんでもない事を言い出したんだろう？
…最後だから運命のお相手の代わりに練習を？




煉獄さんの考えが全く分からない………。





本当………いつも突拍子もない事を…。






…………あ、これ可愛い。





お土産売り場をウロウロしながら先程の事を思い出しているAは、旅館名物の饅頭に目と口が付いた髪飾りを見つけ、他にも人気な土産があるにも関わらず、少し趣味の悪い髪飾りを気に入り、嬉しそうに会計を済ませた。





そして我に返ったAはこのまま杏寿郎と顔を合わせると何やら気まずい気がしてきて婚約者のフリは今日までだし、先に帰って荷造りをすれば良いのでは？と思い杏寿郎には無断で旅館を後にした。


















………それなのに、
どうして私は煉獄さんに腰を抱かれ街を歩いているんだろうか。

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