よもや…愛らしい。【その弐】

分からない。 ページ35

狛治視点


…言われた言葉の意味がよく分からない。
弱いから守る。
それって当たり前じゃないのか？


確かに俺は鬼だった頃に強さを求めてた記憶がある。


ただAといる時は、そんなこと考えたりもしてなかったし、一緒にいる時間は穏やかだった。



だから余計に守ってやろうって思ったんだった。
その時間が壊れないように。



それって何か意味が他にもあるのか？



Aは弱いし、いつもヘラヘラ笑って鈍臭くて、脳天気でイラッとさせてくることあるけど何だかんだで優しい女だ。



…？？？？？？




…あの山で会った時に俺は何でAを助けた？




元々、女は食わないし殺さなかった。
かと言って助けた事なんか無い。




今思えば、鬼に喰われようが目の前で死のうが、多少の不快感はあっても手を貸したり助けるなんてした事なかったのに。



…なのに何で俺はあの時に助けたんだ？




分からない。





でもあの時に助けて良かった、間違ってなかった。





それだけは言える。





……？





なんか胸のあたりがまた痛む。





鬼から人間になったことで俺の身体はおかしくなってるんだろうか…？

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