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Side You
それから山本さんは私の手を引いてくれて、そのまま家の前まで送ってくれた。
…まさか、あの顔も知らない夜更かしさんが山本さんだったとは。
言われてみれば確かに、一緒に帰った日、大体同じタイミングで家についていた。
夜中煙草を吸いに出てるのまで知られているとは思わなかったけど。
そして強引に連絡先を交換されてしまった。
いや、いいの？あなた17000人のフォロワーがいるのよ？
とは思っても、やっぱりうれしいものでおとなしく頂いておく。
ちゃんと温まるんだよ！と何回も念を押されては、言うことを聞くしかない。
『起きてる？』
お風呂からでて、少しだけ迷って、その新しい連絡先に一言だけ送る。
起きてないならそれでよかったのに、10分後。
『起きてるよ』
『たばこ』
シンプルな返事が嬉しくて、思わずすぐに呼び出してしまう。
…呼んでいいっていったのはそっちだもんね。
『ちょっとまって』
どうやら来てくれるらしい。優しい。
でも今日は、その優しさに甘えていたいの。
家に置いてあった煙草とライターを持って玄関を出る。
雨はだいぶ小雨になっていた。電気がついているその部屋になんだか安心する。
やがて、そのベランダに人影が現れた。
少し背伸びをして物干し竿にカバンをかけてる姿がなんとなく可愛い。
そして、こちらを見下ろした彼と目が合った。
『お待たせ』
その言葉だけ確認して、一度置いてライターと持ち替える。
彼も同様に火を点けていた。
廊下の柵に頬杖をついて彼を見上げていると、片手に煙草を持った彼がスマホを耳に当てた。
え、と手元のそれを確認すれば着信の文字。彼の顔を見ても笑ってるだけ。
応答のボタンを押して同じように耳に当てる。
「…なに」
『顔が見えないんだもん』
「確かにね。次からはイヤホンだね」
『それも確かに』
そのまま二人で煙を吐き出していた。何度目かのそれのあと。
『どうしたの』
「ん？」
『なんかあったんじゃないの』
「…」
『なんもないならそれでいいんだけどさ』
耳元の優しい声と、私を見つめる優しい眼差し。
自分の意に反して滲む涙を悟られないように顔を伏せる。
「…褒めて、っていったら変？」
『…んーん』
『お疲れ様、Aちゃん頑張ったね、大変だったね。
いつもたくさん頑張ってえらいよ』
私の欲しかった言葉を言ってもらえて
でも情けない泣き顔はきっと彼には見えないと思うと溢れだした涙は止まらなかった。
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黄色い恐竜(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます！私も書くことが自粛期間中の楽しみだったので、そう言っていただけて嬉しいです…！次回もよければぜひよろしくお願いいたします！ (2020年6月15日 14時) (
レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - ぺりさん» コメントありがとうございます！私も大好きな二人をそう言っていただけて嬉しいです…次回はまた雰囲気が変わるかと思いますが、よければぜひよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - 孤黒さん» コメントありがとうございます！日常的な幸せって素敵ですよね…そう言っていただけて本当にうれしいです！ぜひこれからもよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
早瀬 - 完結おめでとうございます！コロナで外に出れない憂鬱なこの日々の楽しみがこのお話でした！とってもとっても素敵でした…！！山本さんを幸せにしてくれてありがとうございます笑これからも素敵な物語を楽しみにしています！ (2020年6月14日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
ぺり(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！陰ながらずっと更新を楽しみにしておりました。山本さんが報われてよかったし、本当に好きな2人でした。次回も楽しみにしております！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: aef7fed343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄色い恐竜
| 作成日時：2020年5月21日 21時
