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Side Ymmt
「宮前さんっておいくつなんですか」
「今25です」
「…僕の一個上？」
「そうなりますね」
「ええ、じゃあタメでいいですよ」
「ええ」
仲良くなるためにお話したいって言ったんだから、ストレートに気になることを聞いてみる。
一つ上かあ、雰囲気は大人っぽいけど、笑顔は幼いな、なんて思ってて、あまり違わないその年齢にも納得する。煙草を灰皿に押し付けながら、ちらりとこちらをみた宮前さん。
「…私がタメにしたら山本さんもタメにしてくれます？」
「えぇ、宮前さんがいいなら」
「それもやめよ、私店で苗字で呼ばれないから」
「…A、さん？」
「知ってるの」
「…引きました？」
「いや、…嬉しい」
気が付くと彼女はまた煙草に火を点けている。ふいに砕けたその口調にドキリとする。彼女が年上と知ったからか、なんだか女の先輩と話しているような錯覚に陥いりそうだ。
「山本さんもタメにしてって」
「あ、はい、じゃなくて、うん」
「…いいの？」
「なにが？」
「私ファンなんだよ、拡散しちゃうかもよ」
「…Aさんはそんなことしないでしょ」
「変なの」
ちょうど風向きのせいか、彼女が吐き出した煙がそのまま彼女の前で揺れた、少しだけ霞み、その向こうでふふ、と笑うAさんはとても、綺麗だった。
「Aさんは誰が好きなの」
僕も新しい煙草に火を点ける。
吸うようになって分かったけど、吸わないでいると何とも言えない手持無沙汰感に駆られる。ただ立ち尽くすよりいい気がするようになってしまった。
「んー、誰が好きっていうかねぇ」
彼女は灰を落としながらぽつりぽつり話し始めた。
勉強がどうしても得意じゃなかったこと、好きだったのは料理で、その料理の勉強をして今の仕事をしていたこと。自分が好きじゃないものを極めている僕らを尊敬してくれていること。
「だから、みんなすごいと思ってるよ」
そっかぁ、みんなすごいのか。ちょっとだけ、山本さんが一番好きですなんて言ってもらえないかなと思っちゃった。
「…帰ろ」
「あ、うん、そうだね」
彼女は煙草を押し付けながらぽつりと言った。
カバンを持って歩き出す君の横に並ぶ。
「…久しぶりに店の人以外と喋った。ありがと」
「僕でよかったらいつでも」
「…私いつでもいるからさ、またお店来てね」
あの角で、どこか切なげに微笑んだ彼女と別れる。
…少し、仲良くなれたかな。
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黄色い恐竜(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます！私も書くことが自粛期間中の楽しみだったので、そう言っていただけて嬉しいです…！次回もよければぜひよろしくお願いいたします！ (2020年6月15日 14時) (
レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - ぺりさん» コメントありがとうございます！私も大好きな二人をそう言っていただけて嬉しいです…次回はまた雰囲気が変わるかと思いますが、よければぜひよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - 孤黒さん» コメントありがとうございます！日常的な幸せって素敵ですよね…そう言っていただけて本当にうれしいです！ぜひこれからもよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
早瀬 - 完結おめでとうございます！コロナで外に出れない憂鬱なこの日々の楽しみがこのお話でした！とってもとっても素敵でした…！！山本さんを幸せにしてくれてありがとうございます笑これからも素敵な物語を楽しみにしています！ (2020年6月14日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
ぺり(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！陰ながらずっと更新を楽しみにしておりました。山本さんが報われてよかったし、本当に好きな2人でした。次回も楽しみにしております！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: aef7fed343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄色い恐竜
| 作成日時：2020年5月21日 21時
