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Side Ymmt
撮影の予定を前倒ししたはずなのに、なぜか僕は終電で帰っていた。その理由は単純明快、データが消えたのである。しかもそれは人的ミスではなく、機械の故障であるから誰にも文句は言えない。
過去のデータはすべて保存もしてあるのに、よりによって書きかけの記事やら編集中のデータやら、今一番失いたくないものをそれぞれ手離した僕らは、こうして終電ぎりぎりまでねばるか、泊まり込んで復旧作業というわけ。
はあ、朝には宮前さんとお話できていい日だったのになぁ。ずっとパソコンに向かい続けて肩がすっかり凝っている。
いつもは喫茶店によることも多いからその角へ行くんだけど、こんな時間じゃ行く意味もないので一つ手前で曲がる。一気に暗くなる住宅街を進むと、例の喫茶店の裏側に出た。
ここにつながるんだ、なんてぼんやり考えていると、その喫茶店の裏口に誰かいる。…こんな時間にだれだろ、まさか泥棒…？！
僕は何かの重要な目撃者になるかも、なんて一人でサスペンスな気分になりつつ、歩みを進めるとあることに気が付いた。
その人は女性で、長い髪をおろしていて、そして煙草を持っていた。…どこかで見たことあるかも。こういうのデジャヴって言うんでしょ。
その記憶は少し前なような気がしたけれど、その記憶を辿りきる前にその人の顔がちらりと見えた。
「…宮前さん？」
普段は黒い髪の毛を一つにまとめてお団子にしているからか、その印象とは全く違う彼女がいる。
「山本さん？」
「そうです、すみません急に声かけちゃって」
「いえいえ。…帰りですか？」
「はい、宮前さんも…？」
「さっきあがって、これ吸い終わったら帰ろうと思って」
右手のそれを示してニコッと笑った彼女は、お店でみる彼女の笑顔で、そんで、その笑顔がやっぱりかわいいなと思うわけ。
「あれ、朝からいませんでした？」
「そーなんですよ、山本さん見送ってからいろいろあって」
顔を歪めてそんなことを言う宮前さん。相当嫌なことがあったらしい。スマホすらろくに見る時間なかったです、とため息をついている。
そっかぁ、…ぼくのつぶやきも見てないかな。
宮前さんの手のそれが短くなる。
「もう帰りますか？」
「あ、はい、すみません付き合わせちゃって」
「全然。おうち近いんですか」
「すぐそこなんですよ」
あっち、と指さす方は僕と同じで、こんな偶然ある？と一人で嬉しくなる。
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黄色い恐竜(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます！私も書くことが自粛期間中の楽しみだったので、そう言っていただけて嬉しいです…！次回もよければぜひよろしくお願いいたします！ (2020年6月15日 14時) (
レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - ぺりさん» コメントありがとうございます！私も大好きな二人をそう言っていただけて嬉しいです…次回はまた雰囲気が変わるかと思いますが、よければぜひよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - 孤黒さん» コメントありがとうございます！日常的な幸せって素敵ですよね…そう言っていただけて本当にうれしいです！ぜひこれからもよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
早瀬 - 完結おめでとうございます！コロナで外に出れない憂鬱なこの日々の楽しみがこのお話でした！とってもとっても素敵でした…！！山本さんを幸せにしてくれてありがとうございます笑これからも素敵な物語を楽しみにしています！ (2020年6月14日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
ぺり(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！陰ながらずっと更新を楽しみにしておりました。山本さんが報われてよかったし、本当に好きな2人でした。次回も楽しみにしております！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: aef7fed343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄色い恐竜
| 作成日時：2020年5月21日 21時
