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Side You
お湯を回し入れ、沈んだらもう一度。
それを繰り返していくうちにサーバーにはどんどん落ちたコーヒーが溜まっていく。
「なんか砂時計みたい」
「ちょっとわかる」
二杯分の量になったところで、マグカップのお湯を捨てて注ぎ分ける。
特有の香ばしい香りがふわりとあたりに広がった。
包まれると安心する、私の大好きな匂い。
「Aちゃんてさ、ほんとに好きなんだね」
「なにが？」
「料理も、コーヒーも」
「まあ、好きじゃなきゃこれで生きていこうと思わないしね」
また二人で向かい合わせに座って、祥彰が買ってきてくれたお菓子の箱が中央に置かれる。
湯気が立つカップをに息を吹きかけながら、にっこり笑った祥彰。
「とっても楽しそうで、僕も見てて楽しかった」
「…そんなに？」
「うん。好きなことしてる好きな人っていいよね」
「…そうね」
そんなストレートに言われるとなんだか照れるけど、動画内で楽しそうにボタンを押す彼を思えば言わんとすることがわかった。一口コーヒーを飲むと、美味しい、と綻ばせる彼にまた安心して、私もそれを飲む。
…うん、この苦い感じが私も好き。
「何買ってきてくれたの」
「開けてみて」
今日の祥彰は終始楽しそうである。…私もおんなじ顔をしてるかな。あまり表情には出ないかもしれないけど、私もいまとっても幸せだよ。
小さな箱を開けると、カラフルな丸が4つ。
「…マカロン？」
「そ。可愛いなーって。…Aちゃん食べれる？」
「うん、好き。久しぶりだ」
確かに独特の食感と風味で好みは分かれるお菓子だが、私は好きだった。自分ひとりじゃなかなか買おうとは思わないから嬉しい。
ピンクのそれはフランボワーズだっけ、と一つ取る。祥彰は黄色を取った。
また二人で視線を合わせて、一緒に齧る。
さっくりとした食感と、少しの酸味と、それからふんわりとした甘さ。
目の前の彼も美味しー、とまたにこにこ笑う。
「…贅沢だねえ」
「ぜいたく？」
「目の前に大好きな人がいて、コーヒーと美味しいお菓子と、贅沢じゃない？」
そう答えると祥彰は目を見開いて、そしてふふって嬉しそうに笑う。
小さなマカロンはお互い一瞬で口の中におさまった。
残りは茶色と緑。チョコとピスタチオかな、美味しいよね。
「ねーAちゃん」
こうやって祥彰に名前を呼ばれるのは何度目だろう。
ん？と顔を上げる。
「大好きだよ」
「…私も、大好きよ」
ちょっと甘すぎ？
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黄色い恐竜(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます！私も書くことが自粛期間中の楽しみだったので、そう言っていただけて嬉しいです…！次回もよければぜひよろしくお願いいたします！ (2020年6月15日 14時) (
レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - ぺりさん» コメントありがとうございます！私も大好きな二人をそう言っていただけて嬉しいです…次回はまた雰囲気が変わるかと思いますが、よければぜひよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - 孤黒さん» コメントありがとうございます！日常的な幸せって素敵ですよね…そう言っていただけて本当にうれしいです！ぜひこれからもよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
早瀬 - 完結おめでとうございます！コロナで外に出れない憂鬱なこの日々の楽しみがこのお話でした！とってもとっても素敵でした…！！山本さんを幸せにしてくれてありがとうございます笑これからも素敵な物語を楽しみにしています！ (2020年6月14日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
ぺり(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！陰ながらずっと更新を楽しみにしておりました。山本さんが報われてよかったし、本当に好きな2人でした。次回も楽しみにしております！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: aef7fed343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄色い恐竜
| 作成日時：2020年5月21日 21時
