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Side Ymmt
家にAさんが入るのを見届けて、僕もそのアパートを後にする。僕とAさんお家は直線距離的にはすぐそこなんだけど、実際歩くとなるとやっぱりあの角まで戻るしかないようで雨に打たれながら歩いていた。こうちゃんに買ってきてもらった傘、あんまり意味なかったな。
「…っくしゅ」
僕もほんとに風邪をひきそうだ。帰ったらすぐシャワー浴びよう。…Aさん大丈夫かな。僕のこと待ってたって言ってたけど、どうしたんだろう。どんな理由であれ、そういわれたら嬉しい、けど、あの雨の中待たせたと思うとかなり悔しい。今度聞いてみよう。…もう、連絡がとれるんだ。
歩くとちょうど10分くらいだった。カーテンを開ければすぐそこなのに、なんとも大回りである。彼女に伝わればいいと思って、部屋の電気をつけて風呂場へ向かった。
いつもより時間をかけてシャワーを浴びてあったまる。
その間もずっと考えているのは彼女のことだった。
顔をあげたときの安心したような顔、消え入りそうな声、僕の家がすぐそこだと知った時のいつもの笑顔…
『起きてる？』
ずっと考えていた彼女からの初めてのメッセージはいたってシンプルだった。風呂上り、髪の毛もしっかり乾かしてスマホを見ると10分前。彼女もお風呂からでたのかな。
『起きてるよ』
『たばこ』
もう日付が変わってしばらく経つけど、返事をするとすぐに既読がついて、そしてまた一言だけ返事が飛んでくる。
『ちょっとまって』
それだけ返し、玄関に置きっぱなしだった濡れたままのカバンを持ってくる。中身はとりあえず無事そうで、いいやつ買っといてよかったと昔の自分に感謝をし、空になったそれを持ってベランダにでると、いつか見かけた場所に彼女はいた。
『お待たせ』
手元でそう送ると、スマホに照らされた彼女が小さく笑った。この距離でも表情は何となくわかる。カバンを干して、ベランダの柵に凭れて彼女を見下ろすと、彼女も同じようにアパートの廊下の柵に凭れて頬杖をついた。
二人で煙草に火を点けて、そして僕は通話ボタンを押す。驚いたように彼女はこちらを見て、やがてそれを耳に当てる。
『…なに』
「顔が見えないんだもん」
『確かにね。次からはイヤホンだね』
「それも確かに」
二人して、片手に電話、片手で煙草、その距離は少し離れてるけど耳元で聞こえる君の可愛い笑い声。
やっぱり僕たちの関係は奇妙だ。
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黄色い恐竜(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます！私も書くことが自粛期間中の楽しみだったので、そう言っていただけて嬉しいです…！次回もよければぜひよろしくお願いいたします！ (2020年6月15日 14時) (
レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - ぺりさん» コメントありがとうございます！私も大好きな二人をそう言っていただけて嬉しいです…次回はまた雰囲気が変わるかと思いますが、よければぜひよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - 孤黒さん» コメントありがとうございます！日常的な幸せって素敵ですよね…そう言っていただけて本当にうれしいです！ぜひこれからもよろしくお願いします！ (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
早瀬 - 完結おめでとうございます！コロナで外に出れない憂鬱なこの日々の楽しみがこのお話でした！とってもとっても素敵でした…！！山本さんを幸せにしてくれてありがとうございます笑これからも素敵な物語を楽しみにしています！ (2020年6月14日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
ぺり(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！陰ながらずっと更新を楽しみにしておりました。山本さんが報われてよかったし、本当に好きな2人でした。次回も楽しみにしております！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: aef7fed343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄色い恐竜
| 作成日時：2020年5月21日 21時
