Prologue. ページ2
ある夜、眠れなくてベランダに出た。
4月の夜は少しだけひんやりしていて、一枚羽織ったパーカーだけだと肌寒い。
風に吹かれながら何気なく視線を降ろすと、
隣のアパートの一室から人が出てきた。
もう日付が変わってだいぶ経つ。随分夜更かしさんだなぁ。
…僕が言えたことじゃないか。
小さなカチッという音ともに、視界の中で一瞬灯りが灯った。
どうやら、その人が煙草に火を点けたようだった。
…夜、屋外でたばこを吸う人のことを、その様子からある昆虫に例えてなんというでしょう、
答えはホタル族。なんて、いつか使えるかなぁ。もう死語かしら。
小さな灯りに照らされたその人は、髪が長い、綺麗な顔立ちの女性だった。
僕は煙草は吸ったことはなくて、体に害があるもの、くらいの認識しかなかった。
別に吸いたいなら吸えばいいんじゃない、みたいな、どうでもいいような感情しかなかったけど
アパートの壁に凭れて紫煙をくゆらす貴女はなぜかひどく魅力的だった。
煙草を吸い終わったらしいその人は、唐突に顔をあげた。
ふっと緩んだ口元につられて、僕も視線をあげると綺麗な満月だった。
月も見れたし、たまには夜更かししてもいいかも、と思いながら
視線をまた戻したときには、その人はもう家の中に戻ってしまっていた。
またこの時間に起きたら彼女をみることはできるのかな。
話してもないその人に
僕はまた会いたくなっていた。
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黄色い恐竜(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます!私も書くことが自粛期間中の楽しみだったので、そう言っていただけて嬉しいです…!次回もよければぜひよろしくお願いいたします! (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - ぺりさん» コメントありがとうございます!私も大好きな二人をそう言っていただけて嬉しいです…次回はまた雰囲気が変わるかと思いますが、よければぜひよろしくお願いします! (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
黄色い恐竜(プロフ) - 孤黒さん» コメントありがとうございます!日常的な幸せって素敵ですよね…そう言っていただけて本当にうれしいです!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2020年6月15日 14時) (レス) id: f5683b3f6a (このIDを非表示/違反報告)
早瀬 - 完結おめでとうございます!コロナで外に出れない憂鬱なこの日々の楽しみがこのお話でした!とってもとっても素敵でした…!!山本さんを幸せにしてくれてありがとうございます笑これからも素敵な物語を楽しみにしています! (2020年6月14日 23時) (レス) id: 0963beb20e (このIDを非表示/違反報告)
ぺり(プロフ) - はじめまして!完結おめでとうございます!陰ながらずっと更新を楽しみにしておりました。山本さんが報われてよかったし、本当に好きな2人でした。次回も楽しみにしております! (2020年6月14日 22時) (レス) id: aef7fed343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黄色い恐竜 | 作成日時:2020年5月21日 21時