【QK】諦められないんだからしょうがない【sgi】

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Side Sgi


「もしもし？」


オフィスをでて自宅の最寄り駅まで直行する。
普段とは少し遠回りして、いつものコンビニではなくスーパーへ立ち寄って、家まで帰ると玄関の扉を閉めた瞬間にスマホが震えた。一度息を吐き、それを耳に当てる。少し憂鬱だった気持ちは、電話越しのなぜだか明るい彼女の声で晴れた。

買った食品を冷蔵庫へ適当にいれながら話を聞く。
来月の誕生日は、当日は仕事があるという。前後で連休が取れないかという話だった。あーちょっと待って、と脳内で大まかなスケジュールを思い起こす。今月少なめだった分、来月は動画にでる本数が多いのと、かんちゃんが休みに入るから仕事の割り振りも変わるだろう。


「ごめん、来月から一人休みはいるから今から連休お願いするのは厳しいかも」


…いや、不可能ではないんだろうけど。嘘ではない言い訳をさせてくれたかんちゃんに心の中で感謝した。向こうも納得したのか、それなら仕方ないね、とさして声のトーンを変えずに言う。当日の夜は大丈夫なのかと聞けばそれは平気という。そしたら夕飯だけどこかで食べようと話は落ち着いた。また店を決めたら連絡する、と伝えそれから少しまた他愛のない会話をする。やがて向こうの電話の奥で無機質な音声が流れる。湯舟がはったとかそういうやつだろう。それをきっかけに電話を切る。

…さて、夕飯を作りながら連れていくディナーを考えますかね。だれが詳しいかなぁ、案外河村とかいいところ知ってたりして。明日聞いてみよう。

先程しめた冷蔵庫をもう一度開け、適当に買った食材からメニューを考える。
できたらちゃんと投稿してやろ。さっきの言い訳のお礼に応えてあげようじゃないか。

ふと、かんちゃんの顔がよぎる。
最初ここに来た頃も、なんとなく一線引かれているような、何を考えているかわからないようなところがあった。今はそのころに比べて表情も豊かになったしふざけあいもする。わりと露骨にいやそうな顔をしたりすることもあるけれど、あの屈託のない笑顔も何を考えているかわからない。俺に対するあの態度は、何を意味するんだろうか。

いや、相手がこのナイスガイのお兄さんだからいいものの、その辺の大学生にやってみなさいよ？可愛い子にあいたかっただの待ってるだの大好きだの言われたら普通勘違いするからね？誰にでもやるような子じゃないとはわかっているけど

やるなら俺だけにしてほしいと思うのはワガママかしらね。

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