冷めた欲望に咽び泣いて瞼の中。 (ページ9)

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何だかモヤモヤしたまま、俺は雑誌を開く。

開いた雑誌を顔の上にのせて一眠りする。

＿「お前のプレーには”華”が無い。」

中学時代、一度だけ試合を見に来てくれた親父に言われた。

その日以降、親父が試合を見に来ることは無かった。

別に、見に来てほしいわけじゃないけど…ちゃんと見てほしかった。

＿「Aは、何の為にバレーをやっているの？」

死に際、お袋が言った言葉だ。

入院していたお袋のお見舞いついでに、病室の隅で

俺にとっては容易い問題集を作業として解くのが日課になっていた。

＿「Aは、バレー好き？」

帰り際に言われたその質問に答えられなかった。

俺は聞こえなかったフリをして病室のドアを開けた。

その次の日の明け方、お袋は死んだ。

別に悲しいとも思わなかった。

母親らしいこと、何もされてないしな。

あの人の「バレー好き？」という質問に、何故すぐ答えることが出来なかったのだろう。

「”嫌い”」というたった三文字を、何故言えなかったんだろう。

「……嫌なこと思い出したな。」