第五章、能ある烏は…。 ページ22
合宿数日目。
変わったことと言えば、日向の雰囲気だ。
この間の練習試合で
気を抜いてたら食われるような威圧感。
「東峰さん、怖くないんですか?」
「ん?あぁ、日向の事ね。ちょっとは怖いかな。」
「”エース”ってそんなに良いんですかね…。あ、東峰さんを貶してるとかじゃないですよ!?」
「大丈夫だよ。…譲羽は「エースになりたい」と思った事は無いの?」
「別に”エース”って肩書に憧れは無いですよ。沢山点を取った人が強いんだし…。」
俺は横髪を耳にかけながら東峰さんの目を見上げた。
東峰さんの目に俺は映っていない。
小さな、血に飢えたケモノだけを、真っ直ぐと見据えていた。
「(だからこの人は、”エース”と呼ばれるんだろうなぁ。)」
俺とは違う。
「「午後の練習始まるから集まって。」って清水先輩からの伝言です!」
「ありがとう、やっちゃん。」
「谷地さんありがと。」
立ち上がった拍子に髪をまとめていたゴムが切れた。
「うわ、最悪…。」
「わ、私!予備のヘアゴム持ってるよ!私のでよかったら使って!」
「…ありがと。」
「ヘイヘイヘーイ!譲羽ク〜ン、今日も自主練来るよなぁ?」
「おやおや〜?今日は随分と可愛らしいですねぇ(笑)」
「…今日は眠いので行きません。」
谷地さんがヘアゴムを貸してくれたのは良かったのだが、
星をあしらった可愛らしいデザインだったため、散々いじり倒された。
終始、谷地さんが隅のほうで申し訳なさそうに震えていた。
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蒼穹のサブ - ありがとうございます!頑張ります!! (4月8日 15時) (レス) id: 3240649a16 (このIDを非表示/違反報告)
とむ - めっちゃ好き!更新がんば!!!! (4月1日 19時) (レス) @page16 id: 2262dfa315 (このIDを非表示/違反報告)
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