56,合間 ページ3
「オペラさん・・・早く目を覚めしてください・・・」
電気もつけられていない、暗い部屋に私達はいた。時刻はもう真夜中。
窓から差し込む月明かりだけが、ベッドの上のオペラさんの顔を照らしている。
返答は無い。分かっていた。
まつ毛の閉じられた顔は、死人の様に真っ白だった。
まさか、こんなことになるなんて誰が予想できただろうか。
いつも憎まれ口ばかり叩いて、人を振り回す先輩が今日こんな大ケガをしてくるなんて。
『あの大量の剣は、彼を襲った犯人の魔力によって操られていたんでしょう。あれほどの数を操っていた事から考えても、かなりの魔力の持ち主かと・・・。
オペラ先輩は右肩の致命傷以外は切り傷ですんでいますが・・・、
その致命傷はおそらく避けきれずに刺さってついた傷なんでしょう。その傷からの発熱がひどい。
こまめにタオルと包帯を変えてあげてください。
僕はまだ消火活動があるので、もう行かなければいけないし、こんなことしか言えませんが・・・、
オペラ先輩の側にいてあげてください。
あと・・・彼の事、よろしくお願いします。』
帰り際、バラム教諭は私にそう言ってくれた。
溜め息をつく。
このまま目を覚まさなければオペラさんは・・・
最悪の思考が頭に浮かび、思わず私はかぶりを振った。
何を弱気なことを言ってるんだ私は❗️
バラム教諭からも任されたのに、こんなんじゃダメだ‼️
絶対に彼を死なせない‼️
オペラさんのこと心配なのは皆同じなんだから、私がしっかりしないと‼️
・・それにしてもオペラさんは一体誰に襲われたんだろう?
そして何故こんなタイミングで?
いや、それは今考えることじゃない。
今は彼を助けることに集中しないと❗️
そう思い、オペラさんの額にのせてあるタオルをかえようとした時だった。
「・・・ぅ・・・」
「・・・!?」
え、今・・・オペラさんが・・・
まさか・・・
「・・・オペラさんッッ❗️わかりますか!?わ、私です。A・フロストです‼️」
必死に声をかける。
「A・・・さん・・・?」
やがて薄く開かれた深紅の瞳が私を捉えた。
「ここ・・は・・・私は・・・」
この状況に驚いてはいるようだが、彼の意識ははっきりしていた。
喜びで胸が弾けそうになる。
オペラさんが目を覚ました・・・。
ー目を覚ました‼️
90人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レイ・フーガ・チュレイン - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください!! (2022年8月26日 0時) (レス) @page12 id: 6b74fe665f (このIDを非表示/違反報告)
エメラルド・アリス - あと私もオペラさん好きです! (2020年3月25日 17時) (レス) id: 8a3a604a3a (このIDを非表示/違反報告)
エメラルド・アリス - 好きです!頑張ってください!私も更新楽しみ!コメント頑張るぞー!楽しみにしてます! (2020年3月25日 17時) (レス) id: 8a3a604a3a (このIDを非表示/違反報告)
はく - すごく面白かったです。読みやすかったのですらすらと読めました!次の更新が楽しみです!頑張ってください! (2020年3月24日 17時) (レス) id: 999f5a80a1 (このIDを非表示/違反報告)
カヤノキ - 毎回感想をくれてありがとうございます!彼のあんな状況を書くのはすごく辛かったです・・・。私も好きなので・・・。これからも頑張るので読んでいただけると嬉しいです。 (2020年3月21日 22時) (レス) id: d7bba48218 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:カヤノキ | 作成日時:2020年3月20日 22時