32 [番外編:白石有純] ページ38
笑顔でそう言えば二人はしぶしぶ部屋を出ていった。リビングには一瞬の沈黙が訪れたが秀兄が私の隣に移動し口を開く。
「それで？ 教えて貰おうか」
何を？ と聞けば、名前の由来だよと返される。
「盗聴器は確認済みだ……有純は大体の想像が付く、白石の方だ。赤の対局なんだろうが、この組織には白より黒の方が良く似合う」
『そこまで分かってるなら聞く必要じゃない。
白石は秀兄の言う通り、赤の対局の色。黒じゃないのは……組織に入ったからと言って、心まで失くしたわけじゃないって誰かに言いたかったんだと思う』
結果的に見れば自ら志願して組織に入った形だけど、私は組織に賛同しているわけでも何でも無い。
『名前を有純にしたのも同じ理由。真純の漢字を貰ったけれど……きっとそれ以上に私は純白だ、って私自身が信じてたいんだよ』
そう、これは自分が不安に押し潰されないためのおまじないでしかない。やってることは真っ黒なこの組織でそんな言い訳が通るはずないのだから。
「俺は、Aを必ず助ける」
『もっと全体を見て。私だけが助かっても組織があるままなんて意味がない。嬉しいけれど、母さん達が安心して暮らせるのが最優先』
「Aはいつも自分のことは後回しで物事を考える。たまには自分に素直になったらどうだ？ 」
『それ、そっくりそのまま返す。いきなり飛び出したと思ったらFBI？ 無茶しないで欲しいんだけど』
本当は分かってる。私も秀兄も思っていることはただ一つ＿＿
「……この組織を壊すため」
『ごめん、言い過ぎた。秀兄の気持ち分からないわけ無いもの』
「いいさ。結局俺たちは血の繋がった兄妹、ってことさ」
血の繋がった兄妹、か……
(何か、良いな……あったかい。 )
秀兄、と問えば彼はどうしたというように此方を見る。
『大好き。自慢のお兄ちゃん』
パソコンを閉じ秀兄の膝の上に横たわる。いきなりの膝枕に秀兄は驚きながらも私の頭を撫でてくれた。返事はないけれど撫でてくれる秀兄の手はとても優しくて言葉なんていらないと言っている様だった。
(眠い……もう少しこのまま……)
そのまま私は秀兄の膝の上で惰眠を貪るのだった。
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FluteMagic(プロフ) - 明里香さん» 失礼しました(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ ご指摘ありがとうございます。修正させて頂きました。 (2019年6月10日 8時) (
レス) id: a012491fd6 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 22話にも誤字がありました。「外していあかな」ではなく、「外していいかな」です。 (2019年6月10日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 14話に誤字がありました。「再開の場」ではなく、「再会の場」です。 (2019年6月10日 0時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
FluteMagic(プロフ) - もふうさぎさん» ありがとう!!…がんばる。温かく見守って下さい・・ (2017年12月19日 22時) (レス) id: 9afb2fa1a5 (このIDを非表示/違反報告)
もふうさぎ - 読ませていただきましたっ！とても見やすくていいと思いますよ！これからも更新頑張ってくださいねヽ(*≧ε≦*)φ (2017年12月19日 20時) (レス) id: e534d00e51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mpptt8231/
作成日時：2017年11月22日 21時
