黒に染まった哀れな小鳥【赤井秀一/降谷零】

31　[番外編:白石有純] ページ37

「有純って名前はやっぱり
　[不思議の国のアリス]からとってるのか？ 」

特に仕事もなく、リビングのソファーでパソコンをいじっていたらコーヒーを持ってきてくれたスコッチに話かけられた。


いくらなんでも突然過ぎない？


『……いきなり何？』


そう答えれば彼は肩をすくめて、アリスって言えば不思議の国のアリスだろ？ と笑って見せた。


白石有純＿＿＿私の偽名。


「何の話をしてるんだ？ 」


私の思考を邪魔するように話しかけて来たのはリビングに入ってきたライ。その後ろにはバーボンの姿もあり必然的に部屋の中には団らんしている様な構図が出来上がった。

有純の名前の由来についてだよ、とスコッチが答えればバーボンがそれで不思議の国のアリスですかと言いながら私の隣に座る。


『さあ？ 名前の由来なんて気にしたこと無かったし……それに、私アリスみたいにお転婆な娘に育った記憶は無いわ』

「へ？ 」

「え？ 」

「は？ 」


『……え？ 』


言葉の通りでしょ、と言えば全員に否定された。秀兄……ライまでもが顔を引きつらせている。


「なぁ、有純。冗談だよな？ 」

「聞くまでもありませんよ、スコッチ。有純はジョークを言って僕たちを笑わせてくれようとしたに違いありません！ 」

「この件に関しては俺もスコッチとバーボンに賛成だ。サングリア、あまり大人をからかってはいけない」


ひどくない？ 私、お転婆な訳ないじゃない。


「何を言ってるんですか！ この家に来て初日に夜探検しようする様な子はお転婆以外あり得ませんよ」

「そんなことしてたのかよ、まあ……最初の頃とか俺の作った食事を怪しむ素振りも見せずに幸せそうな顔して食べてた」


心の声が漏れているのはさておき……スコッチとバーボンの言葉に違うともう一度反論しようとした時、彼らの携帯が同時になった。どうやら今日の仕事はスコッチとバーボンに割り当てられたらしい。


『この話はおしまい、いってらっしゃい！ 』

32　[番外編:白石有純]→←30　[番外編:ベルモット&キール　2]

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す