あの瞬間に。 (ページ3)

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「あ、わく、荷物」

「んーいいよもってあげる」

「めずらしくやさしいね」

「いつもだろ(笑)」

わたしの荷物を持ったままとなりで歩く湧をみると「ん？」って顔してすぐ「なんだよ～」なんて笑ってる。

「んーん、いつも送ってくれてありがとう」

「帰り道だし」

なんて言ってるけど、わたしのアパートより湧の家のほうが駅に近いの知ってるのにな･･･湧とは学部もサークルも同じで1年の時にたまたま同じ講義取ってて、話しかけられてから仲良くなるには時間がかからなかった。何せその講義で話せるのが湧しか居なかったからテスト勉強したり、課題手伝ったり、手伝ってもらったり･･･

知り合ってすぐに、私が元々やってたバイト先に湧とその幼なじみの颯太くんが入ってきたときはビックリした。もう全部同じだねって笑ってさらに仲良くなったしバイトが被ったら今みたいに必ず送ってくれる。

そうお気づきの通りかなりの好物件。
･･･こんなにいい条件の元木湧に彼女がいないのが不思議だ。

「ねえなんで彼女作らないの？」

「えなに急に。」

「んー、モテるじゃん？」

「そっくりそのままお前に返すよその言葉」と笑って明日起きれる自信ないから電話してとお願いされる。いいよと言えば満足そうに大きく伸びをした。

あ、また話しそらされた。

「･･･そういえば、たこ焼き器かったから今度タコパしよってマキが言ってたよ」

「え！する！やったあ」

「子供かよ(笑)いつものメンツ収集かけとくわ」

「ありがと「てかいつまで黒ちゃんのパーカー着てんの」

「あ、返すの忘れてた」

「･･･なんか仲良くね？最近」

「え？みんなも仲良いじゃん、これどうしよ･･･光輝くんに会う予定ある？」

「あるから俺返しとくよ」

「ほんと？ありがとう」

光輝くんとはサークルが同じだけど学部違うし取ってる講義も違うから大学では滅多に合わない。颯太くんとマキちゃんも光輝くんと同じ学部だからみんなで会うのはサークル絡みだ。

着ていたパーカーを脱いで湧に渡すとこんどは湧が着ていた上着を肩にかけられる。

「え？いいよいいよ」「風邪ひくから、それに明日俺と会うんだからそんとき返してくれればいい」

「わかった、返したいから絶対1限きてね？」

「はいはい、モーニングコール頼んだ」

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