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一瞬にして静かになった店内で、治くんのため息だけがやけに大きく聞こえた。






「またアホなこと考えてるんやろなぁ。
まぁ気にせんとき。よくあるこっちゃ」

『よく、あるのもどうかと思うけど…』






ついさっき、侑くんが出て行ったばかりのドアをぼんやりと眺めた。
少し気持ちがざわつくわたしは、やっぱりずるい。






「灰羽リエーフ。最近ようテレビで見るよな」

『すごいよね。お姉さんもモデルで、前は一緒に撮影してるのもあったりしたんだよ』






さっき侑くんが見ていたのと同じ画像を開いた治くんは、ほう、と何とも言えない相づちを打つと、スマホの画面をスクロールして他の画像も見始めた。


興味あるの、と聞けば、お客さんがよう言っとるからな、と返ってきて納得する。



彼はどこまでも店主の治くんだ。






「Aちゃんはこういう男が好きなん?
正直、ツムとは系統っちゅーかタイプは全然ちゃうやんな」






ようやくスクロールの指を止めた治くんは、画面をわたしに見せながらそう言った。
その画面には、灰羽リエーフの宣材写真。


濃いメイクがなくたって、ブランド物を身に着けていなくたって、存在自体にオーラがある。
やっぱりかっこよくて、どうしたって人の目を惹く。



そういうところも大好きだけど。
でも彼はそれだけじゃない。






『高校、一緒だったんだよね。
リエーフ先輩、バレー部だったから、よく練習観に行ってたの』

「この人もバレーボール、やっとったんや」

『高校からバレー始めたのに身長とセンスに恵まれて、でも人一倍努力してた』






よくモヒカンの猛虎先輩に怒鳴られて、でも叫びながらもボールを追いかけていた姿が、脳裏に浮かんだ。
一度だけ休憩時間に話した彼は、チヤホヤされるくらいのエースになってヤクさんに見てもらうんだと笑っていた。


彼は今、バレーボール界のエースではないけれど、間違いなくモデル界のエースだ。
ヤクさんとやらに見てもらうことはできたのかな。






「……なんや、ツムと一緒やな」

『え?』






見ていた画面が急に暗くなって、黒いそこに間抜けな顔をした自分が映った。
顔を上げると、治くんの笑顔と真正面からぶつかった。






「俺もバレー部やってんで。
ツムと二人で、宮ツインズとか言われとったわ」

『え、そうなの?見てみたかったなぁ』






見るもんやないで、という穏やかな声を聞きながら、閉まったままのドアを見て小さく息を吐いた。

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さな(プロフ) - ラブリーハートのプリキュアさん» ラブリーハートのプリキュアさん、ありがとうございます!身に余るお言葉、、嬉しいです😂侑くんらしさを出せるよう頑張ります!ぜひよろしくお願いします! (2023年3月6日 19時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ラブリーハートのプリキュア - 初めの文から好きです。なんかもうあの語彙力が神ってて!!表現の仕方が好きです。まさかこのシリーズに侑君が出るとは。頑張って下さい! (2023年3月5日 9時) (レス) @page1 id: 0b96e038f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2023年3月5日 0時

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