侑くんと治くん ページ8
『双子…だったんですね』
そう呟いて、目の前に並んだ二人の顔を見比べた。
ようやく整理がつきだした頭でも、気を緩めればまた混乱しそうだった。
それほどまでに、よく似ている。
突然現れた宮選手は、混乱するわたしに口早に教えてくれた。
宮選手が双子であること。双子のもう一方が、おにぎり宮の店主であること。
今日の差し入れも宮選手のツテだったこと。
彼らの違い、それから、双子の見分け方に至るまで。
その流れで、今日のアリーナ裏でのことも大声で話し続けるものだから、気が気でなかった。
幸い、宮選手が一人でまくし立ててるだけで、わたしには何も振られなかったけど。
「すまんな、ツムが迷惑かけたみたいで」
「何やねんサムその言い方！
俺がいつ迷惑かけたっちゅーねん！」
「アホか。今さっき、お前が言うた話に全部詰まっとるわ」
宮選手の言った通りだった。
顔も、眉も目もそっくりだけれど、二人は髪の色が違った。髪の分け目も左右で分かれていた。
こうして見れば、見た目的にも、二人は全く違う。言い合いを聞く限り、テンションをはじめとして、内面的にもかなりの差異がある。
「ん、お待ちどおさん」
『わぁ…！』
「おかか、昆布、ネギトロや」
カウンターの向こうから湯気が立ち昇るお皿が置かれた。
いつの間に言い合いが収束していたのか、店主がにこやかに笑いかけてくれていた。少し視線をさまよわせると、隅っこで頬を膨らます宮選手を見つけて、言い合いの結末に何となく察しがついた。
出来立てだからか、お昼に食べた時よりも何倍も光り輝いて見えるそのお米達に手を伸ばす。
パリッと海苔のいい音がして、それからすぐに言葉にしがたい幸せが口だけじゃなく全身に広がった。
お米の炊き加減、握り具合、具の味付けと量、やっぱり全てがピカイチだった。
「改めて、宮治いいます。
このドアホの片割れですわ」
『あ、わたしはAAといいます』
「Aちゃんやな。
どうや、俺のメシ、うまいやろ」
『はい！とっても美味しいです！』
2個目のおにぎりを手に取りながらそう言えば、店主は嬉しそうに笑って、それからもう一つ、小さなおにぎりを握ってくれた。
綺麗な、淀みのないその仕草をこなす器用な手に、宮選手の手を思い出す。
店主の手は、大きくて、関節が少し膨れていて、そして小さな切り傷がいくつもある。料理人の手だった。
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さな(プロフ) - ラブリーハートのプリキュアさん» ラブリーハートのプリキュアさん、ありがとうございます！身に余るお言葉、、嬉しいです😂侑くんらしさを出せるよう頑張ります！ぜひよろしくお願いします！ (2023年3月6日 19時) (
レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ラブリーハートのプリキュア - 初めの文から好きです。なんかもうあの語彙力が神ってて!!表現の仕方が好きです。まさかこのシリーズに侑君が出るとは。頑張って下さい! (2023年3月5日 9時) (レス) @page1 id: 0b96e038f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2023年3月5日 0時
