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何も知らないのに、どうして名前を呼んだだけでそんな顔ができるのか。
わたしからの声かけに、わかりやすく顔を輝かせた宮選手に、少し驚きながら言葉を重ねた。






『今、初めてお会いしましたよね』

「まぁ厳密に言うたら、俺はあんたのこと朝から見とったから初めてではないな」






小学生のような屁理屈。
それを堂々と、何なら少し自慢気に言う姿は何だか憎めなくて。
少しだけ、この人が人気になる理由がわかった気がした。



それと同時に、こんなスター選手がどうしてわたしにこんなことを言っているのかは、どんどん分からなくなっていく。






『……だからです。
わたしは宮選手のこと、”宮選手”としか知らないですし、宮選手もわたしのこと、知らないじゃないですか。
好き、も、付き合う、も、正直ピンとこないで
す』






ごめんなさい、ともう一度きちんと頭を下げた。


自分の爪先を見ながら、もしかしてとてつもなくもったいないことをしているのでは、と思い始めたけれど、ここで折れてはいけない。




いや、そりゃまぁイケメンは好きだし?
現役スポーツマンっていうのも嫌いじゃない。

筋肉とか滴る汗とか、嫌いなわけない。
さっきまで観てた試合に出てた選手も、みんなかっこよかったし、ワーキャー言われるのも納得できる。

何ならわたしだってワーキャーしたい。
仕事じゃなかったら今日だって叫んでた。




でもそれは、彼らが遠い存在だからできること。
近づきすぎれば、意味をなさない。

今、彼がわたしに望んでいることは、どう考えたって近すぎる。



だから、これが最善だと自分に言い聞かせたのに。






「……名前は?」

『はい?』

「せやから、名前!」

『え、と、AA…ですけれど』






突拍子もない質問に、反射的に顔を上げてしまった。勢いに流されるまま名前を言えば、宮選手は満足そうに笑った。


その笑顔が、テレビやコートで見るものとは違って見えて、心臓がキュッとなった。
まるで、テレビで推しを見ている時のような感覚。つい身体が熱くなった。

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さな(プロフ) - ラブリーハートのプリキュアさん» ラブリーハートのプリキュアさん、ありがとうございます!身に余るお言葉、、嬉しいです😂侑くんらしさを出せるよう頑張ります!ぜひよろしくお願いします! (2023年3月6日 19時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ラブリーハートのプリキュア - 初めの文から好きです。なんかもうあの語彙力が神ってて!!表現の仕方が好きです。まさかこのシリーズに侑君が出るとは。頑張って下さい! (2023年3月5日 9時) (レス) @page1 id: 0b96e038f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2023年3月5日 0時

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