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真正面からサングラスがずれたままの顔を見て、その綺麗なエメラルドグリーンと向き合う。
瞬間、高校生の頃の記憶が一気に蘇ってきた。
〈 「A!先輩、試合出てる!かっこいい!」 〉
〈 「よし!今日も先輩観に行こ!!」 〉
日本人離れしたスタイル。
綺麗な銀髪と、エメラルドグリーンの瞳。
音駒高校に入学して最初の数か月。
黒尾さんを探していた頃、友達に連れられて行ったバレー部で、わたしはこのエメラルドグリーンをよく見ていた。
あの子が好きだった、ロシアと日本のハーフの先輩。
「あれ、でも何で黒尾さんと?
つーか久しぶり!全然変わんないね!」
『え、あ、何でわたしのこと…』
「そりゃあんだけ来てくれてたんだもん、覚えてるって!
あ、俺のこと覚えてる?音駒のバレー部の灰羽リエーフ!」
知り合いだと分かったからか。
花が咲いたような笑顔をわたしに向けた先輩に、もう首が取れるんじゃないかってほど頷いた。
そうだ。灰羽リエーフ先輩。
一学年上の、バレー部の。
名前をきっかけに、先輩のバレー、あの頃よく見た体育館まで。一瞬にして、色んなことが頭の中を駆け巡った。
高校で仲良くなったミーハーな友達が熱を上げていたのが、リエーフ先輩だった。
黒尾さんに適うほどの憧れる存在もいなかったから、放課後のたびに友達と一緒に体育館に通っては練習を見学した。わたしはリエーフ先輩の隣にいた、金髪プリン頭の先輩の方が好きだったけれど。
1年くらい経った頃、今度は後輩にイケメンがいると騒いで、少しずつバレー部を追う生活は終わっていった。
約1年間の、ささいな出来事。まさか先輩に覚えてもらってるなんて思わなかった。
友達が知ったら発狂しそう。
「えっと、何ちゃんだっけ?
あの子は?もう一緒じゃないの?」
『あ、わたし、AAといいます。
彼女は関西に就職してて…』
「まじかー!!関西!
あ、もう二人ともハタチ超えたんだもんな、はえー!」
先輩の明るさに引きずられるように、気づけばわたしも笑顔になっていた。
少しだけ、高校生に戻ったような気がして、わくわくした。
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nameless - 1話1話読み進めていく毎に高揚感が募っていくような作品でした!またいつか、続きを楽しみにしております (12月20日 10時) (レス) @page42 id: e6c0ea655a (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 水傘るんさん» 水傘るんさん!ありがとうございます!このシリーズに黒尾さんは必須!と思っていました!大人ですよね…!ありがとうございます頑張ります!! (2023年3月31日 19時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 菜花さん» 菜花さん、ありがとうございます!彼らの大人時代はどんなのかなぁという妄想から始まった作品ですが、そう言っていただけて嬉しいです🍀💚今後もぜひよろしくお願いいたします! (2023年3月31日 19時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
水傘るん(プロフ) - 面白すぎます........えっやばい。黒尾さぁん.....大人の男すぎますって....最高です....!!!無理されない程度に更新頑張ってください!!応援してます!! (2023年3月26日 2時) (レス) @page27 id: e67109cbac (このIDを非表示/違反報告)
菜花 - めっちゃ大人って感じのハイキューの小説が読めるとは…!と感激しています!スッと内容が入りやすくて魅了されるような文章で尊敬します!なんか上からですみません!応援してます! (2023年3月20日 3時) (レス) @page27 id: da77361163 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな | 作成日時:2023年1月20日 20時