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「じゃあ黒尾さん!また集まりましょうね!」
「だな。近いうちに声かけるわ」
「Aちゃんも!またね!」
『はい!ありがとうございました!』
リエーフ先輩は、嵐のようだった。
ひたすらにしゃべり続け、お酒を飲んで、たくさん笑って、盛り上がってきたところで、明日仕事がある、と帰っていった。
何でも、今はお姉さんと一緒にモデルの仕事をしているんだとか。
先輩のビジュアルとスタイルを考えればとても納得したけれど、同時にちょっとショックだった。
テレビやSNSに疎いとはいえ、有名売れっ子モデルを、しかも高校時代の先輩を知らなかった。
そんなことを気にする様子もなく、リエーフ先輩は何も知らないわたしに、最近の雑誌の写真やCMを見せてくれた。
友達は知っていたんだろうか。相変わらずファンをやっているのかな。
闇に消えていく先輩を見ながら、彼女に久しぶりに連絡してみよう、とスマホを握りしめた。
.
「何かごめんな。リエーフ、うるさかったろ」
『いえ!とっても楽しかったです』
「そ?ならいいんだけど」
商店街、いつもの通りを歩きながら、黒尾さんは大きく伸びをした。
『後輩と一緒の黒尾さん、何だか新鮮でした』
「お、それはどういう意味ですかね?」
高校のこと、黒尾さんは気づいていないのか、気づいた上であえてスルーしているのか。
同じ高校だったことに関して、わたしも、黒尾さんも、何も言わなかった。
もう、それでいいと思っていた。
「リエーフと、さ、仲良かったんだな」
いつもの分かれ道で足を止めた黒尾さんは、いつもと変わらないトーンでそう言った。
思わず横を見たけれど、見えるのは暗闇に浮かぶ横顔だけ。目が合うこともなかった。
「仲良かったっつーか、さっきが仲良くみえたっつーか、まぁ何て言っていいのかあれだけど」
『まさか、覚えてもらってるとは思いませんでしたけど。びっくりです』
「ハハ、リエーフはよく覚えてるっつってたじゃん」
黒尾さんは、声を上げて笑った。
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nameless - 1話1話読み進めていく毎に高揚感が募っていくような作品でした!またいつか、続きを楽しみにしております (12月20日 10時) (レス) @page42 id: e6c0ea655a (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 水傘るんさん» 水傘るんさん!ありがとうございます!このシリーズに黒尾さんは必須!と思っていました!大人ですよね…!ありがとうございます頑張ります!! (2023年3月31日 19時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 菜花さん» 菜花さん、ありがとうございます!彼らの大人時代はどんなのかなぁという妄想から始まった作品ですが、そう言っていただけて嬉しいです🍀💚今後もぜひよろしくお願いいたします! (2023年3月31日 19時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
水傘るん(プロフ) - 面白すぎます........えっやばい。黒尾さぁん.....大人の男すぎますって....最高です....!!!無理されない程度に更新頑張ってください!!応援してます!! (2023年3月26日 2時) (レス) @page27 id: e67109cbac (このIDを非表示/違反報告)
菜花 - めっちゃ大人って感じのハイキューの小説が読めるとは…!と感激しています!スッと内容が入りやすくて魅了されるような文章で尊敬します!なんか上からですみません!応援してます! (2023年3月20日 3時) (レス) @page27 id: da77361163 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな | 作成日時:2023年1月20日 20時