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「二口ってさ、そんなヘタレだったっけ」






大量のホイップクリームが盛られた、甘そうな飲み物を飲みながら、滑津は盛大なため息を吐いた。
うるせぇ、とこぼすと、すぐさま睨まれた。クソ怖ぇ。



最近人気らしい、女ばっかいるしゃれたカフェを待ち合わせ場所に指定した滑津は、会うや否や甘そうなやたらデカいパフェを俺に注文させた。今飲んでるのは、パフェを食べ終わって追加で頼んだものだった。
もはや飲んでんだか食べてんだかわかんねぇ。



よくもまぁそんな甘そうなものを、しかも人の金で食べられるもんだと思うけど、呼び出したのは俺だから、文句は言えないのがまたムカつく。






「で、連絡先も自分で聞けずに相手にお膳立てされて、ようやくデートできてる二口くんは、今度は何に悩んでるのよ」

「お前、何か昔より口悪くなってね?」

「パフェもう一個頼んじゃおっかな〜」

「あー、ったく、分かったからそれ以上食うなよ。
ブスな上、太ってたら男が逃げ…」

「ん?何か言った?」






笑顔で圧をかけてくる滑津に、返事の代わりに顔を歪めて見せてやったら無視された。

滑津と会ってからもう1時間近く。
Aのことを相談し始めてから、ずっとこんな調子だった。



女のことを相談するとなると、青根じゃ話にならない。相手が相手だから、鎌先さん笹谷さんも絶対面倒くさい。
茂庭さんも、何かちょっと複雑だった。

となれば、頼れるのは滑津くらいになるわけで。






「で?結局、何の相談なの」

「相談っつーか、イマイチ向こうの考えがわかんねぇっつーか」

「ご飯行ったりしてるんでしょ?
連絡先ももらってるし、普通に考えて、向こうだって悪い気はしてないと思うけど」

「いやまぁ、そうなんだけど」






あの日、帰り際にAから渡されたのは電話番号とラインのIDが書かれた紙だった。
家に帰るまで待てずすぐに送ったメッセージには、これからもよろしく、なんて返事がきた。


おかげで、見舞いはなくなったけど、Aとは何回か会ってはメシ食ったり飲んだりしていた。この前なんて、初めて昼から普通に出かけた。

つまりは順調だった。そりゃもう怖ぇくらい。






「向こうの気持ちが、正直読めねぇ」

「……あんた本当に二口?」

「らしくねぇことくらい分かってるっつーの」






もうすっかり氷の溶けたアイスコーヒーを、ストローでぐるぐるとかき混ぜた。

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さな(プロフ) - 柴田んぬさん» 柴田んぬさん、ありがとうございます!楽しんでいただけるように頑張ります! (2023年1月22日 22時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
柴田んぬ - このお話すごく好きです!応援しています^^ (2023年1月22日 16時) (レス) @page5 id: 8796ade977 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2023年1月20日 18時

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