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必死で逃げる俺を見透かしたように。
俺を覗き込む、その視線に捕まって、身体が固まった。
その瞳は、ダメだと思った。
俺が、"いい"と思ったその瞳だけは、ダメだと逃げたくなった。
「バカかよ、してるわけねぇだろ」
『なんだ、残念』
「自意識過剰はモテませんよー」
できるだけ、いつものように茶化して返す。
横から楽しそうな笑い声が聞こえて、ほっとした。
自分の対応はこれでよかったのだと、深く息を吸って落ち着かせた。
このやり取りによって当たり前のように離れていったAの足を、横目でちらりと見る。
さっきまで嫌というほど意識して、心の中で散々言っていたのに、いざ離れると何だか惜しいことをしたような気になった。
残念、と、言ったAの声が頭の中でうるさいほどに響いていた。
コイツは確かにそう言った。本当に残念そうな声だったような気がするのは、俺の妄想なのか。
その言葉にどういう意図があるのか、聞けるほどの度胸はなかった。
遠くもない、駅までの道のり。
駅に着いたことを知らせる機械的なアナウンスに、今日ほど救われたと思ったことはない。
やっとの思いでバスを降りた時には、今までにないほどの疲労感でいっぱいだった。
だから、と言い訳をしておく。
余裕がなかったんだ。
『じゃあ、わたしこっちだから』
「え？何で」
『何でって、電車、こっちなんだけど』
まっすぐ駅の改札に向かっていくAの腕を、思わず掴んで引き止めていた。
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さな(プロフ) - 柴田んぬさん» 柴田んぬさん、ありがとうございます！楽しんでいただけるように頑張ります！ (2023年1月22日 22時) (
レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
柴田んぬ - このお話すごく好きです！応援しています^^ (2023年1月22日 16時) (レス) @page5 id: 8796ade977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2023年1月20日 18時
