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寒さが厳しい冬の間。
俺らは茂庭さんの見舞いの度にバス停で会っては、そのまま一緒にメシ食って、酒を飲んで、同じ時間を過ごした。
青根と一緒の日も、帰りはわざわざバスを選んでいた。何も聞かない青根に甘えた。
バス停で何本バスを見送ったかわかんねぇ日もあったけど、それでもいいと思えた。
くそ寒いのに、我ながらすげぇアホらしい。アホらしいけど、寒さで赤くなった俺を見て笑うAが見れるから、意外と嫌いじゃなかった。
「茂庭さん、退院おめでとうございまーす」
「おう！サンキューな！」
「何だよ二口、青根は？」
「ガソスタ寄ってるんで遅れて来ますよ。
俺らが常にセットみたいな言い方やめてくださいよ」
「予想通りの答えかよ！」
そうして迎えた、茂庭さんの退院日。
ゲラゲラと笑う鎌先さんを見ながら、つい先程、花屋に行くためにと別れたばかりの青根を思い出す。
退院に花、なんてありきたりだと思ったけれど、どういうわけかそこは譲らない青根に根負けして、先週久しぶりに一緒に帰って、花屋を見て回った。
先週、茂庭さんから退院が決まったことを知らされた。嬉しそうに、照れたように頬を掻きながら話す茂庭さんは、もう片方の松葉杖だけで歩けていた。
いつの間に、と驚く鎌先さん達を横目に、きっとこの人はいつもこうなんだろうと思った。高校時代から、きっと、いつもこうだったんだ。
鎌先さんや笹谷さんの手元に花がないことを確認してから青根にLINEを送れば、青根がよく使うクマのスタンプが返ってきた。
スマホの中の青根はかなり饒舌だ。普段もわかりやすい顔してるけど、しゃべんねぇし、やっぱこっちの方が分かりやすい。
パーティ帽を被ったクマが喜んでいるそれを見て、つい口元が緩んだ。
「何だよ、スマホ見てニヤニヤして。
女か？二口お前、彼女でもできたのか！？」
「え！まさかもう！？」
「違いますよ、相手は青根っすよ。
つーか茂庭さん、もうって言っても、俺半年は彼女いないんすけど」
噛み付いてくる先輩らにスマホから目を離さずに文句たれれば、鎌先さん笹谷さんの声だけ返ってきた。
一番意外な返事をした人の声が聞こえない。
「茂庭さん？」
「あ、いや、そうか！そうだよな！
悪い！ちょっと驚いて！！」
驚いた、と言いながら息を吐き出す茂庭さんのその姿は、何か安心しているように見えた。
え、茂庭さん、もしかしてそっちかよ。
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さな(プロフ) - 柴田んぬさん» 柴田んぬさん、ありがとうございます！楽しんでいただけるように頑張ります！ (2023年1月22日 22時) (
レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
柴田んぬ - このお話すごく好きです！応援しています^^ (2023年1月22日 16時) (レス) @page5 id: 8796ade977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな | 作成日時：2023年1月20日 18時
